番外5話『そしてリトルガーデン』
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くれ」
巨大な骨から免れることに成功していたハントが、骨に埋もれてしまったルフィへと漏らす。
「許可?」
首をかしげるルフィへと視線は送らない。真ん中山の火山が噴火し、ドリーが決闘に赴くその巨大な後姿をじっと見つめたままでハントは言う。
「あの二人を倒す」
「……倒すって、なんで――」
首をかしげたのはビビだ。
ハントの言う意味が分からずにいる彼女へと、ハントが笑って言う。
「――俺があの二人を倒せば、あの二人の決着はつかないだろ?」
「な」
ビビがその言葉の意味を理解し、絶句した。
あの二人の決闘はあの二人が闘うから決闘なのであって、第3者、たとえばハントが二人の決闘の邪魔をして、そして倒してしまえばあの二人の決闘自体には傷はつかない。
ハントはそう言っているのだ。
そういう発想が浮かぶことに驚いた彼女ではあるが、絶句するほどまでに驚いたのはそういう発想のほうにではなく、むしろ巨人二人を倒すという発想が浮かんだというその思考回路にだ。
ルフィのように能力者でもない人間が、巨人からして掌よりも小さい人間が、二人の巨人を相手にして倒すといってるのだ。当たり前のように倒すと宣言したハントの言葉は無謀以外のなにものでもない。
少なくともハントが能力者ならば100歩譲れば理解できないこともない言葉だが、ハントが能力者でないことはもうメリー号での航海中に本人たちから聞いている。
「無茶よ、ハントさん! 巨人二人を相手にしてただの人間が勝てるわけ――」
「――行って来いハント!」
ビビが抗議の声を遮って、ルフィが許可を出した。
「了解、船長」
ハントの口の端がゆがんだ。
邪魔が入った決闘はすでに決闘ではない。
これはもう、ルフィにとって、そしてハントにとって指をくわえてただ見るだけという観客に徹することを許される問題ではない。
命よりも大事にしてきた彼らの誇りを守る。
失われてはいけないもののために戦う。
これはハントにとって他人事ではないからだ。
ハントの目に映るのは既に戦闘を始めた二人の巨人。
ただそれだけだった。
幾重にも響く鈍撃が島を揺るがし、連なる剣撃が甲高い音を上げて世界を揺らしていた。
恐竜も鳥も、虎も、その他の動物も。トリルガーデンに住まう生物が皆一様に体を縮こませて、まるで災厄のように降り注ぐそれらの振動が終わるのをたただひたすらに待ち続ける。
「どうしたドリー、歯切れが悪いぞ!」
「なに……いつも通りさ」
ブロギーの嵐のような斧舞を、ドリーは一心不乱に受け続ける。
胃袋から爆発した酒によりドリーの体は既にボロボロ。彼の思い通りにすら体は動かず、何かを話そうとするだけでも
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