番外5話『そしてリトルガーデン』
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「なんにもないわよ!」
口調はキツメではあるものの、特に怒っている表情ではない。それをウソップもわかっているのか、表情を相変わらずの能面のままで「ほんとか?」と確認するように問いを重ねた。
「な、なによ」
「いや、ハントの態度がよ……ちょっと今までと違ってなかったか?」
「……そう、かもね。でも本当に何もなかったわよ?」
ナミが軽くうつむいて、ウソップの言葉に同意する。たしかに、ハントの行動はつい先日までの行動とは明らかに異なるそれだった。その違いにはウソップでなくても気づくだろう。ナミに何かあったかを尋ねたウソップだが、そもそもウソップにとってハントのナミに対する態度が少し変わったこと自体は大して興味を惹かれる問題でもない。ナミが否定するのだから何もなかったのだろうと素直に頷いて、すぐに今の状況を思い出したのか、リトルガーデンという危険そうなこの島において自分の身に危険が及ばないかを少しでも確認するために首をあわただしく巡らせる。
「本当に……なにも」
ナミが自分の肩を抱いて吐いた言葉が鋭くこぼれ落ちてリトルガーデンの喧噪へとまぎれて消える。
ナミの表情に、ウソップが気付くことはなかった。
さて、少し時計の針を進めよう。
この島にいる住む巨人は二人。
ドリーとブロギー。
ルフィ一行はドリーと出会い、二人の巨人が誇りをかけて戦っていることを聞く。ルフィもハントもそんな彼らに脱帽し尊敬の念を抱くことになるのだが、ルフィたちとドリーが会話をする中、突如ドリーが手を付けた酒が爆発した。
体内で爆発すればさすがの巨人といえど大ダメージを免れない。
そこで、ドリーとブロギーの決闘の合図――真ん中山の火山の噴火――が。
決闘を止めるルフィの言葉を振り切り、ルフィと、ついでに未だに事態を把握しきれておらず茫然としているハントを巨大な骨の家の下敷きにして、ドリーは決闘に向かったのだった。
1万3千466戦1万3千466引き分け。
100年にもわたる長い長い殺し合いは、すべて引き分けに終わり、今という歳月を紡ぐことへとつながっている。
そこには途方もない彼らの実力と、おそらくは何らかの天運もかかわっていることだろう。
彼らの戦いは誰よりも誇りがあり、神聖で、不可侵なそれ。
その決して穢されてはいけない彼らの決闘に、邪魔が入った。
決闘として決闘たりえる要素が地に落ちればそれはもう決闘と呼ばれるそれではなく、ただの凄絶な殺し合い。あってはならない妨害を受けて不平等な条件の下で殺しあうそれは決闘とはかけ離れたただの殺し合い。
少なくとも二人の巨人の決闘はただの殺し合いで終焉を迎えてもよい決着などではなく――
「――ルフィ、俺に許可を
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