番外5話『そしてリトルガーデン』
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た一匹の動物。密林の王者、虎だ。絶対捕食者たるその生物が、血まみれになってメリー号の前で力尽きた。
「普通じゃないわっ! 絶対普通じゃない!」
「この島には上陸しないこと決定!」
あまりにありえない光景を目の当たりにしてナミとウソップの恐怖心へと火が付き、だが、それとは逆に好奇心へと火が付いた人物もいた。
「サンジ、弁当!」
「弁当ぉ?」
「ああ、海賊弁当! 冒険の匂いがする!」
「俺のも頼む、サンジ!」
ルフィとハントだ。
「ちょ、ちょっと待ってよ。どこ行くつもり!?」
慌てるナミにルフィが「冒険! ししし来るか?」と輝いた笑みをこぼし「お、ナミも来るのか!?」と、ハントも同様の笑みを浮かべる。ハントに言われ、ほんの一瞬だけ動きを止めたナミだったが、この常識はずれな島にあってナミが行くという選択肢を選ぶわけもなかった。
「よし、行くぞ!」
「んー、なんかでかい生命ばっかりだな」
「おおよそで戻ってくるから」
と、結局はルフィ、ハント、ビビとカルーの計3人と一匹で冒険へと出発することとなった。ちなみにハントの言葉は当然だが見聞色を発動しての言葉だ。
船に残ったのはゾロとサンジ、それに断固として船を出たくない派のナミとウソップなのだが、ここでゾロが「じゃ俺もひまだし、散歩してくる」と言い出したことがまた新たな問題を呼び起こした。ついでにそこらの獣を狩って食糧をとってきてくれというサンジの言葉にゾロが「お前じゃとうてい仕留められそうにねぇヤツをとってきてやるよ」という言葉でサンジとゾロのどちらが大物を狩れるかという狩り勝負にまで発展。二人して船を出て行くことになったのだった。
取り残された二人、ナミとウソップが「どいつもこいつも……なんであいつらあんなにこうなのかしら」と漏らし「わかるぜ、その気持ち。泣くな、俺はおめぇの味方だよ」とウソップが同意する。
「……」
「……」
二人してお互いを見つめ合って数秒。何かに気づいたナミが言葉を発するより先にウソップがそれを呟く。
「頼りねー」
「それは私のセリフよ!」
ウソップらしいといえばウソップらしい言葉だが、言われたナミからしてみればたまったものではないだろう。噛み付くように突っ込むナミの反応を全く意に介さず、ウソップは能面の表情で「そういやおめぇウィスキーピークでハントとなんかあったのか?」
「はぁーーーーっ!?」
今までの会話の流れを完全に無視しているうえに、いきなりすぎるド直球の言葉だ。ナミが反射的に大声を出してしまったのもある意味では仕方のなかったことかもしれない。僅かに顔を赤くさせて、視線を彷徨わせて、それから考えるように目を閉じたあとはため息を落とし、そして冷静な顔で言う。
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