番外5話『そしてリトルガーデン』
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というのに、そんな音が響いて平常心でいられるはずもない。ナミが「きゃあ!」とハントへとしがみつく。
――ナイスラッキー!
もちろんこれを思ったのはハント。「なに、今の!?」とおびえるナミの肩を抱きしめて、ナミにはばれないようににやけた顔を明後日のほうへと向ける。ウィスキーピークでも味わったナミの感触を思いがけない形で再度感じることのできたというラッキーに、信じてもいない神様へと感謝をする。
――しかし……かわいいな。
自分の腕の中にいるナミが明らかにびびっている姿に、ハントはただでさえにやけている頬をさらにだらしなく緩ませる。ハントとしてはおそらく史上の瞬間だったろうが、もちろんそれを見ていて許容することのできない人物がいる。
「こ……のっ!」
サンジだ。
「ナミさんから離れやがれ!」
くっついている二人を引きはがそうと嫉妬全開の蹴りをハントへと放つ。とはいえハントの側にはナミがいるわけで、女性のことを常に第一に考えるサンジがそれを気にしないわけもなく、あくまでもハントなら避けられるような速度の蹴り、ただ引きはがすためだけの蹴りだ。
この蹴りに、今までのハントならばナミを離し、避けるという行為に走っていただろうが、ハントはもうナミを好きでいるということを決意している。それゆえにサンジにとって、いやサンジだけでなくおそらくはナミにとっても予想外に――
「――断るっ!」
サンジの蹴りを背中で受け切って、それどころかより強くナミを抱きしめる。
今までの、ナミに対してどこか踏み込まないような態度を見せいたハントからは想像のできない光景に、サンジが驚きに固まった。
「俺とナミを裂くこうなんて――」と叫ぼうとするハントに、ナミからの「――恥ずかしいわっ!」というアッパーが見事にハントのあごへと決まった。
「げふん!」
コントのような声をあげて吹き飛ぶハントを尻目に、ナミが「時と場所をわきまえなさいよね」というどこかすねたような声を落としたことには誰にも気付かなかったのは常に誰かがやかましく騒いでいるメリー号にとってはこういったやりとりも特に注目される騒ぎでもないからだろうか。
そんな喧噪をスルーしていたルフィは空を飛ぶ1匹の生物へと注意を傾けていた。
「……とかげか?」
空を飛ぶトカゲ。
見た目はほぼ爬虫類のそれであるにもかかわらず羽毛を体に生えさせて空を飛ぶその姿こそ鳥の祖先たる姿なのだが、ルフィはもちろんそれを知らない。そのトカゲを目で追いかけて――
――ドンという音が響いた。
まるで活火山が噴火したのかと考えてしまいそうになるほどのそれにナミやウソップが悲鳴を上げる。
異常事態はそれだけにとどまらない。密林の中から姿を表し
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