第二十五話 学舎の園
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げられてしまい、店の外に出られると気配を特定することも出来なくなってしまった。
「御坂さん、取り敢えず白井さんに連絡して。あとは白井さんの指示に従ったほうがいいと思う」
「そ……そうね。ちょっと待ってて」
俺が出しっ放しになっていた水道を止めながら御坂さんに頼むと、御坂さんはゲコ太っぽいケータイを取り出して白井さんに電話をかける。途中で電話を代わってもらい、白井さんに状況と佐天さんの容態を説明すると、病院などではなく常盤台の保健室でまず見てもらうことになり、佐天さんは白井さんがテレポートで連れて行くということになった。
俺は白井さんが来る前にやらなければならないことがあるので、佐天さんを抱き上げてひとまず店内のソファに寝かせる。
「あのー、すみません。飲み物以外をテイクアウトにしてもらえますか? あと、ここの店長とか責任者の方にお話したいんですけど」
「はい、かしこまりました。……あ、店長ー!」
「お客様。いかが致しましたか?」
俺がお願いするとすぐに店長を呼んでもらえたので、能力で姿を隠した人がこの店に入り込んでお手洗いで友達が気絶させられたことと、もしかしたら店内の何かを盗んでいった可能性もあるので確認をしたほうがいいと伝えた。俺は犯人も動機も知っているので本来ならば伝える必要などなかったのかもしれないが、犯人も動機も知らなかったとすればまず疑うのは万引き行為だろうと思ったのだ。
「救急車をお呼びしましょうか?」
「いえ、大丈夫です。テレポーターが来てくれますから」
店長さんから提案を受けるも、白井さんに電話してからしばらく経つので、そろそろ来るのではないだろうかと思いながら答える。
「そうでしたか。それでは…………こちらをお持ちください」
「あ、ありがとうございます」
店長さんから渡されて思わず受け取ったのはケーキの無料券だった。これはもしかしたら変な噂などを立てられないための口止め料ってやつだろうか……いや、向こうには俺が暗に要求したと勘違いされたのかもしれない。
「お姉さまっ、佐天さんはどこですの!?」
「黒子、こっち。頼むわね」
「勿論ですの」
やっと白井さんが到着したと思ったら、あっという間に佐天さんを連れて消えてしまった。
「じゃー、私達も行こうか」
「はい」
こうして御坂さんと俺もテイクアウト用に箱詰めされたケーキを持って常盤台に向かったのである。
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