第二十五話 学舎の園
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「あー、初春さんのも頼んだんだ。でもやっぱり多くない?」
テイクアウトで頼んだのだから気付いているだろうと思っていたのだが、残念ながら御坂さんは気付いてなかったようだ。しかし、それでも更に聞いてくる辺りは照れ隠しなのだろうか。
「別に多くはないけど……あ、来た。御坂さんの分と佐天さんの分だね」
俺が返答に困っていると、丁度いいタイミングで先に頼んでいた御坂さんと佐天さんの分が出てきた。
「まぁ、多くないって言うならいいわ。佐天さんの分はお願いね」
「はーい」
御坂さんはどうやら太るよっていう話に持って行きたかったわけではないように見えたのだが、普通に食べ過ぎっていう話にするつもりだったのだろうか。先に御坂さんがテーブルまで行ってしまったので、俺も佐天さんのチーズケーキを持って移動しようとする。
「おわっと……あれ?」
ちょうど店内に誰かが入ってきた気配があったので、ショーケースとは反対方向から振り返ろうとしたら、入ってきた人が俺の振り向くほうに来たので慌てて回避した……のだが、そこには誰も居なかった。
間違いなくそこに気配があるものの姿は全く見えない。まぁ、恐らく重福さんで間違いないだろう気配は、そのまま奥へと向かっていった。
「ちょっと何やってるのよ」
「あー、いや、別に」
御坂さんには曖昧に答えて佐天さんの分をテーブルまで運び、その後すぐに自分の分も出てきたのでそれもテーブルまで運ぶ。そして、トレーをテーブルの上に置いたときに佐天さんの気配が急激に薄くなった。
「なっ! 佐天さんがっ!」
最初はこのまま知らない振りをして、アニメ通りに進んでいくのを見ていようかとも思っていたのだが、気配で佐天さんに何かあったことが分かったのにそれを無視することなんて出来なかった。
「ちょっ、どうしたのよ!?」
「佐天さんに何かあった! 気配で分かる!」
後ろで御坂さんが声を上げているのが聞こえる。それに答えながらも俺はお手洗いに向かって走った。
「佐天さんっ!!」
お手洗いのドアを勢いよく開けて中に入る。佐天さんはアニメ通り洗面台に寄り掛かるようにして倒れていたのだが、恐らく時間的に眉毛は描かれてないだろう。
「佐天さん! 大丈夫!?」
俺が佐天さんを揺すっていると、お手洗いから一つの気配が逃げ出した。
「御坂さん! そいつ捕まえてっ!」
「え? 何……きゃっ!?」
思わず御坂さんに犯人を捕まえるよう頼んでしまったが、御坂さんには犯人の姿など当然見えてないし、気配を感じることも出来ないのだから捕まえようがない。そして、見えない犯人とぶつかったようでその場に尻餅をついてしまったのだ。そのため、犯人にはそのまま逃
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