第二十五話 学舎の園
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立ち寄らなければならなくなったのである。
「苺のクロスタータがいいか……、このモンテビアンコも美味しそう……、でもチョコラータっていうのも捨てがたい……」
ケーキ屋さん『パスティッチェリア・マニカーニ』に到着早々、初春さんがショーケースを眺めながらケーキ選びで迷いに迷い、すでに数分が経過している。
「そんなに悩むようなことですの?」
「私は来る前からチーズケーキって決まってましたから」
「ウチもまぁ、決まったし」
白井さんが呆れた様子で初春さんに尋ねると、初春さんをフォローする形で佐天さんが口を挟んだので、俺も決まったことを伝えた。
「早くしないと日が暮れちゃうよ?」
「ああっ、ちょっ、ちょっと待ってください……ふぁっ!?」
御坂さんに急かされて慌てる初春さんだが、急に驚いて動きが止まった。その瞬間初春さんのケータイが鳴り出す。
「はい、もしもし……、え……はい。分かりました」
電話をしている初春さんの声のトーンがだんだん落ちていき、最後は落ち込んだようなというか諦めたようなトーンになっていた。
「呼び出しですの?」
「はい」
初春さんの電話の受け答えを聞いて推測できたのだろう、白井さんが尋ねると初春さんが短く答えた。
初春さんのケーキはテイクアウトで購入することにして、初春さんと白井さんはジャッジメントの仕事へ向かうことになった。ところで、白井さんの分はどうするんだろう……ってか、いつでも来ることが出来る常盤台の生徒だから別にいいのか。
「じゃー、二人とも頑張ってねー」
「当然ですの。行きますわよ、初春」
「はい。後はお願いします」
俺が二人を送り出すと二人は店から出て走り出していた。
「慌ただしいわねー。じゃー、私達は……」
「あのー、私ちょっとお手洗いに」
「それじゃー、佐天さんの分もテーブルまで持っていっとくねー」
御坂さんが何かを言おうとしたところで佐天さんがお手洗いに向かった。
「あ、注文忘れてたわ。ウチはズコットとキール・ロワイヤルとトルタ・カプレーゼで、飲み物にカフェラテをお願いします。ついでにテイクアウトで苺のクロスタータとモンテビアンコをお願いします」
「ちょっ……そんなに食べるの!?」
俺が注文を済ませると、御坂さんが驚いた様子で聞いてきた。この店に入った当初、御坂さんと白井さんはショーケースを見ることなく注文を済ませ、佐天さんも続いて注文を済ませていたのだが、初春さんと俺だけがショーケースを覗き込みながら考えていたので、俺はまだ注文を済ませていなかったのである。
「このぐらいなら特に問題ないでしょ。あとテイクアウトは初春さんの分だし」
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