第二十五話 学舎の園
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んな時間! 初春、急ぐよっ。ほら、神代さんも早くっ!」
「えっ!?」
佐天さんはそう言うと、あろうことか俺の手を掴んで走り出したのである。
「きゃっ!」
「ちょっ!!」
佐天さんはアニメ通りに水溜りで足を滑らせ、俺まで巻き込んで盛大に転んでしまった。
「あー、佐天さん、神代さん、大丈夫ですか?」
「いててて……、あはは。なんとか大丈夫」
「こっちは大丈夫じゃない!」
初春さんは転んですらいないので当然無傷。佐天さんは尻餅をついたのでスカートのお尻から裾にかけてがびしょぬれになっているわけだが、俺は佐天さんに引っ張られる形で前方に転倒した上、片手を佐天さんに掴まれていたので片手しかつくことができずに全身が濡れてしまっていた。とはいえ、佐天さんのいた場所のように水溜りではなかったのでびしょぬれにはなっていない。
「神代さんは泥だらけですねー」
初春さんに言われて確認してみるが、水溜りではないものの濡れた地面に転んだので泥だらけになっていた。
「ごめん、神代さん」
「はぁ〜……まぁ、仕方ないわよ」
佐天さんに謝られたものの悪気なんてなかったことは分かっているし、既に起きてしまったことはどうにもならないので泥を払いながら答えた。
「常盤台中学に行けば何か出来るかもしれませんし、白井さんや御坂さんに頼めば何とかなるかもしれませんから行ってみましょう」
「そ……そうだね。私もスカートびしょびしょだし」
「まぁ、取り敢えず行きますか」
結局、濡れている泥は払った程度で落ちるわけもなく、初春さんの提案によりこのまま待ち合わせ場所まで行くことになったのである。
「あ、遅かったわね……って、どうしたの? その格好」
「いやー、水溜りで転んじゃいましてー。あははは……」
「ウチは佐天さんに巻き込まれただけです」
常盤台中学の校門前には御坂さんと白井さんが待っていて、俺達を見つけるなり御坂さんが声をかけてきたのだが、俺と佐天さんの格好を見てそのことについて尋ねられると、佐天さんが笑って誤魔化したので俺はありのままを答えておいた。
「ウチは着替える服があるからいいとして、佐天さんはどうする?」
「えっ!? 神代さん、着替えまで持ってきてたんですか?」
「うん、使うことないだろうと思ってたんだけど、ここに来るなら使ってもいいかなと思って持ってきた」
校内に入り、アニメではたまに出てくる『帰様の浴院』という場所、いわゆるシャワールームにて佐天さんに尋ねてみると、驚かれて逆に聞き返されたので、以前消滅させた研究所から有難く頂いてきた常盤台の制服を取り出しながら答える。
「なっ!?」
「はぁっ!
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