第二十五話 学舎の園
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ア・マニカーニというのはイタリアの有名なケーキ屋さんなのだが、佐天さんが言っている通り日本では学園都市の学舎の園にしか出店していない。それを佐天さんが楽しみにしているのはアニメで知っていたので話題にしたのだ。そして、それに対して初春さんが呆れたように呟いていた。
「じゃー、佐天さん。初春さんの分はウチと二人で分けようか」
「おー、いーねー」
「えっ!? ちょっと、それは駄目ですっ!!」
そんな感じで初春さんをいじっているとバスが学舎の園へ到着する旨のアナウンスが流れたので、三人とも降りる準備を始めたのである。
「バス、ちょっと早く着いたのかな?」
「そうだねー。まだ雨が降ってるし」
「大丈夫ですよ。あと3、2、1」
バスを降りるとまだ雨が降っていたのだが、アニメと同じように初春さんのカウントダウンで雨がやむ。なんかタイムマシンの車に乗って過去に行ったり未来に行ったりする映画で、似た場面を見たことがあるような気がするんだけど……。
「うわぁ、本当に学園都市の天気予報は凄いねぇ。少しぐらい外すような茶目っ気があってもいいのに」
「学園都市の天気予報は、予報というよりも演算によって確定された未来の事象を読み上げてるだけですから」
「でも、予報の時点では確定と決まってないからね」
佐天さんと初春さんがアニメ通りにおしゃべりしているところへ割り込む。
「いえ、ちゃんとツリーダイヤグラムの演算によって確定されてるんですよ」
「へーそうなんだー。でも、それってどこまで演算してるの?」
初春さんが説明してくれるが、俺はどうも納得がいかないので更に聞いてみる。
「空気中の分子の一つ一つをシミュレーションすることで正確な天気の予測が出来るんです」
初春さんがエッヘンなんて言いそうな勢いで答えてくれた。確かに小説内というかアニメでもその辺の設定は初春さんの説明通りだったと思うが、そうなるとどうしても気になる部分が出てくるのである。
「そこまでシミュレーションしてるってことはさー、空気を構成する分子がぶつかる可能性のある地形とか構造物、海の波の形とか葉っぱの一つ一つっていうか、その分子レベルまでシミュレーション出来てるってわけだよねぇ」
「それは……当然そうなると思いますけど……」
俺の質問に初春さんは歯切れの悪い答えを返してくる。
「そんでもってさ、動物の動きとか人間の動きなんかも分子レベルでシミュレーションしてるって事になるわけだよねぇ」
「そ……それは……」
「つまり、天気予報が分子レベルでの動きをシミュレーションして出してるんだとしたら、天気予報で確定された未来は、その時点の人間の動きも全て確定されてるって事だ
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