裏の糸は知らぬ間に
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
て難しい顔に変わる。
「料理を戯れに使ったと知られれば……店長になんと言われることか……」
ぽつりと独り言を零して箸を手に取り、急いで料理を口に運び始める。
郭嘉のいきなりの変貌に疑問が浮かんだが振り払い、倣って私も、肉が多いながらも薄味に仕上げてある青椒肉絲をゆっくりと片付け始めた。
†
机の上には数多の酒、そして二つの杯を並べていた。
曹操軍との交渉が上手く行けば二人で酒を飲もうと言ってあり、冥琳と私は今私室で向かい合って座っている。
冥琳からの報告を聞き、曹操からの交換条件に思わず顔がにやけてしまった。
「雪蓮……お前の好みそうな事だというのは分かっているが、そう素直に顔に出すな。一応今は大徳の仮面を被っているんだから」
「あら、いいじゃない。今は民の目もないし私の愛するあなたしかいないんだし」
軽く舌を出して返すと冥琳は大きなため息をついて額に手を当てジト目で睨んでくる。
厳しくも信頼の色が浮かぶ瞳に微笑み返し、机に並べてある酒から冥琳の好きな果実酒を選んで手に取る。杯に注いで彼女の前に置き、自分はきつい酒を注いで先に掲げる。
ふっと微笑んだ冥琳は杯を手に持ち、
「仕方のない奴だ」
やれやれというように私の掲げた杯に打ち合わせ、二人で一息で飲み干した。
「あー、生き返った心地だわ。久しぶりに気分良く飲める気がする」
「ふふ、大徳の姫が大酒飲みでは新たな地の民も訝しむからな。まあ、今日くらいは潰れるほど飲むことを許そう」
「ありがと冥琳。それにしても乱世の箱、か」
報告にあった曹操の戯れを思い出して思考を回す。
私はどれを選ぶのだろうか。否、どう答えるのだろうか。
曹操自身の答えについては教えられていないが……どうせ全ての箱からいい所を全部とか言うのだろう。
箱はいらないから別のモノが欲しい、というのは黒麒麟の答えで間違いなさそうだ。
私は――
「ねぇ冥琳。私ならどう答えたと思う?」
上品に酒を飲んでいる彼女に問いかけると少しだけ目を瞑って考えていた。冥琳なら、私の答えも分かってくれるのではないかと期待に胸を膨らませて返答を待つ事幾分、彼女は優しく微笑み口を開いた。
「そうだな……私の中の雪蓮なら、まず蓮華様や小蓮様を呼んできて何が出てくるか楽しみながら三人で開け、さらに孫呉の重鎮の皆を呼んできて多くを開ける。箱が全て無くなる程の人数を呼ぶ、なんて事はしてくれない事を祈っている」
その後に、どうせ勘で一番欲しいモノを引き当てるのがお前だろう、なんて言う。
「あはは! 分かってるじゃない。欲しいモノが手に入るまで繰り返す。間違いなく私らしい、いえ、我らが孫呉らしいわね」
「孫呉の地を取り戻す為、世代
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ