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乱世の確率事象改変
裏の糸は知らぬ間に
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賛の使者と行われた交渉について語りだした。





「――という事です。その同盟を受けていたならば、今後に誰が一番得をするのか予測するに容易いのでは?」

 郭嘉からの話を聞いて私の心の臓に冷たい手を這わされたような感覚がした。
 その交渉を思いついたモノは、公孫賛に注意を促したモノはそんな前からこの展開を予測し、自身の利を考えていた。間者の情報では公孫賛との接点は戦の直後の酒宴のみ。友との酒宴ならば通常の事だろうと流していたが……洛陽の、しかも戦の直後など普通は出来るはずが無いというのにそれをしたのか。甘い思考のあの軍ではそんな事を思いつくのは一人しかいない為に独断である事が分かる。
 雪蓮が興味を持ち、危険視していた理由が漸く分かった。まさしく、あれは手に入らなければ殺すしかない。化け物がこれ以上増えるのはこちらにとっても酷い。手に入れられたとしても御しきれるのは雪蓮か曹操くらいだろう。
 あれは全てを利用し望んだ展開へと捻じ曲げる手を打っていた。ならばこの後にでも、いや、そこまで袁家を警戒しているのならば我らとの戦中交渉が狙いか。

「……分かっている。一番得をするのは移動したての劉備陣営だ。それと、公孫賛に対して誰にも気づかれる事無く注意を促せるのは間違いなくあれしかいない。黒麒麟の考えた同盟交渉だろう」

 何が大徳の将だというのか。ここまで乱世の事を読んで事前に動き、狡猾に利を得ようとする様はまるでもう一人の曹操ではないか。何故、あれは未だに劉備の元にいるのだ。それほどの才を持ち、この大陸を憂いていながら自分で立つ事もしないとは……奴の目的に皆目見当が着かない。

「我が主も黒麒麟の事はかなり評価しておりましたが……ただ友を想っての提案を行っただけではないのでしょうか」

 難しい顔で考え込む郭嘉は徐晃の異様さに気付いていない。確かにその点も含まれるだろうが……それは自身の主である曹操から聞けばいいだろう。

「まあ、今はあの男の事はいい。それよりも交渉の続きを始めよう」

 促すと、郭嘉は一つため息をついて頭を切り替え、力強い瞳で私を見つめて話し始めた。

「そう……ですね。ではこちらの予測を話します。袁紹は幽州を掌握し、徐州は袁術軍が攻める。ただ、徐州は簡単には落とせません。有能な将の数もさることながら軍師が噂の二人であり、民の支持の高さも相まって兵の士気高く、対して袁術陣営は将も少なく、数が多いとはいえ兵達の士気も高くない。ならばどうするか、あなた方の力を必ず頼るでしょう」
「間違いないな。さらに言えば女狐、張勲のやり口から見るに絶大な兵力の消費後に逃れられない状況でそれを行ってくる。そうだな……こちらも少し腹を割ろう。荊州の現在の状況については?」

 荊州と全く的違いな地の話を出
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