番外4話『ウイスキーピークの夜』
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かったらしい。
「なによ、ハントったら。ルフィたちと遊んでるときは子供っぽいくせに急に大人ぶって」
酒瓶をそのままに喉へと流し込み、文句を言われてしまった。
ちょっと飲みすぎな気がする。
俺が大人っぽくなってるとかじゃなくて多分ナミが子供っぽくなってるだけだ。
もちろんそれを言っても今のナミが認めるわけがないから言わないけど。
「はいはい、それで?」
「?」
なぜそこで首をかしげる。
「いや、俺に用があったんだろ? わざわざ探しに来たってことは」
じゃなきゃナミがわざわざ俺を探しにくるわけがない。
「……」
「宴会がやっぱり罠でウィスキーピークの連中が襲い掛かってきたとか? ……っていうわりにはまだ酒場から楽しそうな声が聞こえてきてるし、そういうわけでもなさそうだよな……あぁ、酒の肴になりそうな魚でも獲って来いってか? いやさすがに俺も軽く酔ってるし夜の海は視界が効かないから嫌だぞ?」
「……」
「……ナミ?」
あれ、返事がない。
「……」
「……ナミさーん?」
「……」
「無視ですか?」
「……」
「無視かよ!」
「……」
「しかもなんでちょっと不機嫌そう!?」
俺にどうしろと!?
エスパーですか!
俺はエスパーですか!?
「……たの」
せっかく何か言ってくれたけど声が小さすぎて聞こえなかった。
「ん、なんて?」
「……飲みたかったの」
「……?」
なんだかナミの態度がしおらしい。急にどうしたんだろうか。
「お酒を」
「…………?」
いや、うん。それは見てればわかるけど。
「ハントと」
不意打ちだった。
心臓が跳ねた。
「………………なん、で?」
できるだけ冷静に言ったつもりだったけど、口がどうしてかぎこちなくしか動かなかった。
「だって……飲みたかったんだもん」
「……っ」
俺の質問に、ナミの答えは答えになっていない。
それなのに。
その言葉は、今晩の俺の結論の全てを瓦解させた。
――ああ、だめだ。
気づいた。
いや、気づいてしまった。
――俺には。
だめだ。
ナミには好きな人がいる。
絶対にだめだ。
ナミには好きな人がいる。
わかってる。
わかってるんだ。
なのに。
俺の血が、肉が、衝動が、心が、思考が、すべてが。
言うことを聞かない。
「船番するなら私にも言いなさいよ、ハントのバカ」
口を尖らせて、軽くすねたように呟くナミが――
きっといつもなら軽い照れ隠しを混ぜながら俺を怒鳴りつけているだろう。でも、今はも
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