番外4話『ウイスキーピークの夜』
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さいと心の中で謝罪を重ねておく。
とりあえず心の中ですっきりとしたので俺に話があるというゾロへと顔を向ける。
「別にお前が誰を好きだろうと構わねぇが態度ぐらいはきっちりしとけ」
「……ん?」
いきなりなんだ?
「どっちつかずの態度が目の前にあるってのはイライラするもんだ」
「……」
あれ、これ……ばれてる?
「あいつのどこがいいかは俺にはわからねぇが」
そう言ってニヒルに微笑んで見せるゾロ。
ばれてるわ、これはばれてる。
「な、なんでそのことを」
「普通見てればわかるだろ、他の奴が気づいてるかは知らねぇが」
まだ麦わらの一味になって大した時間もたっていないのに、俺ってそんなにわかりやすい態度に出てたろうか。
「ま、今晩くらいはのんびり考えるんだな」
言葉のまま、ゾロは俺を置いて酒場へと歩き出す。
……気を使ってくれたのか?
なんとなくそんな気がする。
ゾロのどこかぶっきらぼうな優しさを感じて少し恥ずかしいような、うれしいような、そんなむず痒い気分だ。
「ありがとう、ゾロおにいちゃ――」
「――おにいちゃんはやめろ!」
「わかった、ゾロお兄様!」
「よしそこに直れ、ぶった切ってやる!」
恥ずかしいから真面目には言えないけど、本当にありがとうな、ゾロ。
「うぉばか! 真剣を振り回すな、おにいちゃま!」
「殺す!」
まったく、照れ屋なやつだ。
「雲一つない穏やかな夜の空。大きな月がぽっかりとそこに浮かんでいた。満ちた姿を僅かに欠けさせながらも、それから降る光は優しく、そして幻想的ななにかすらをも感じさせる。サボテン岩が月光に踊り、水面に揺れる月が更なる光を求めて揺れる。そう、その光はまるでメリー号の甲板で一人晩酌を楽しむ青年の心を映し出しているようだった。甚兵を着込んだ青年は酒を流し込み、そして息を吐く。けれど青年の心は所詮は水面で、決して一定の姿を刻むことはない。だから青年は結局、空を仰いで月へと語りかけるのだ……『俺って詩人にはなれそうにないな』と」
なんか詩人っぽく独り言を呟いてみた。
酒の力で頑張ってみたけど気持ち悪いからやめよう。
酒を飲んでて別の要素で気持ち悪くて吐くとか嫌すぎる。
……まあ、でも。
たぶん俺じゃなくてもさっきの意味不明な言葉を呟きたくなる男はいるんじゃないだろうか。
「……はぁ」
我ながら何度目かすらわからないため息をついて、また月を見上げる。
「態度をはっきりと、ねぇ」
ゾロに言われた言葉、それがすべてだった。
どうしたいのか、それを問われれば答えは決まっている。
なにせ俺はナミが好きだ。
それはもう自分でも気持ち悪い
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