第一章
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世界の親分連中ですら逆らえぬ凄みと力量があった。だからこそ大監督たりえたのだ。
その鶴岡が杉浦に対し怖ろしい剣幕で迫ってきたのだ。普通の人間なら蒼白になるところだ。
余談であるが長嶋は鶴岡が激怒していると聞き心底震え上がったという。もしかしたら彼の下にいる裏の人間に何かされるかも、と本気で怖れたのだ。
「もう野球ができないかも」
彼はそう言って震えていた。だがここで彼等の先輩である大沢があちこちに頭を下げて事なきを得た。長嶋はこのことで今だに大沢に頭が上がらないという。
大沢はこのことから長嶋に対して色々と言う。とあるテレビ番組で嘘発見器にかけられながらこう問われた。
「長嶋さんがお嫌いですね?」
彼は笑ってそれを否定した。だが嘘発見器は急激に上がっていった。
他にも長嶋を許したのはつい最近の話だ、と語ったこともある。ある時は長嶋の悪口を飽きる程まくしたてた。しかし最後にニヤリ、と笑ってこう言った。
「しかしあいつには巨人のユニフォームが一番似合うだろうな」
これが大沢であった。彼らしい男気に満ちたエピソードである。なお長嶋は彼を通じてもらっていた『小遣い』を無視する鶴岡の背広のポケットに無理矢理押し込んだという。彼もまた悪いことをしたと思っていたのだ。
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