番外編:バレンタインだよドーラちゃん
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」
『……みんなに?……配る?』
「モモの分も作るからね!」
猫にチョコレートを与えてはいけませんが、モモちゃんは猫ではなくて魔物なので問題ありません。
『ほんと!?たのしみー、ってそうじゃなくて!そうじゃないでしょ、ドーラちゃん!』
「え?なにが?」
また、モモちゃんが憤慨し始めました。
『だから!!そんなあからさまな義理扱いじゃ、なんにもならないでしょ!!ヘンリーさんが期待してるのは、そういうのじゃないと思うの!!』
「いや、だって義理だし。期待とか、ヘンリーは別にそんな」
『義理でも!!例え義理でも、少しくらい特別感を出してあげてもバチは当たらないと思うの!!義理って、いつもお世話になっててありがとうっていう、そういう感謝の気持ちでしょ!?明らかにドーラちゃんのことが好きなヘンリーさんに対して、みんなと全く同じもので感謝の気持ちって、それは無いと思うの!!伝わらないと思うの!!ヘンリーさん頑張ってるし、義理でも少しくらい特別にしてあげてもいいと思うの!!例え、義理でも!!』
「今、すごい回数義理って言ったね……。うん、でも一理あるね。感謝の気持ちか。そうだね、そういうことならヘンリーのはちょっと別にしようかな」
『わかってくれた!?よかった!』
そんなわけで、その他大勢向けのブラウニーと、ヘンリーくん用にガトーショコラを作り始めるドーラちゃん。
モモちゃんは手は出せませんが、焼き上がりを見張ってお手伝いします。
「絶対、ヘンリーのほうが上手なんだけどなー。こういうの」
『いいの、こういうのは!気持ちが大切なんだから!……あ、そろそろいいみたい!』
「どれどれ。あ、ほんとだ。一回出してみよっか。……うん、いいね。あとは、冷ましてから切り分けてラッピングだけど。モモ、焼きたてちょっと食べてみる?」
『いいの!?』
「ちょっとだけね。あんまり熱いと、ヤケドしちゃうよね。……ふー、ふー……これくらいかな?はい、モモ」
『わーい、いただきまーす!……うん、おいしい!これすっごくおいしいよ、ドーラちゃん!』
「そっか、良かった」
きちんとお片付けをして、ラッピングも済ませて、台所を出ます。
「む、我が助手よ。終わったのかの?」
「はい。ありがとうございました。それで、先生……これ」
上目遣いで、そっと可愛らしい包みを差し出すドーラちゃん(男装中)。
「な!?なんじゃ!?」
「先生には、いつもお世話になってますから。私の、気持ちです」
上目遣いからまっすぐで真摯な視線に変わり、静かにベネットじいさんに歩み寄るドーラちゃん(男装中)。
「な、なんじゃ!?わしは、わしにはそのような趣味は!!いや、中身は美しく愛らしい我が助手じゃと、わかっ
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