番外編:バレンタインだよドーラちゃん
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たところで、店員のお姉さんにニコポで値切りつつサクッと会計を済ませていたドーラちゃんが、またニッコリと微笑みます。
「はう……(ぽっ)」
効果は抜群です。
ニコポ効果により、かしましいお嬢様方が一瞬にして静まり返りました。
さらに笑顔の輝きを増しつつ、ドーラちゃんが畳み掛けます。
「ありがとうございます、皆さん。旅する私に気を使ってくださったのですね。大丈夫です、場所の当てはありますので」
「……そう……なんですね……(ぽっ)」
「ですから、私などのために争わないでください。美しい皆さんが争うのを見るのは……悲しい、です」
ここでドーラちゃんが表情を曇らせ、見惚れていたお嬢様方がざわめきます。
緩急が大切です。
「ごめんなさい!もう、しませんから!」
「そうですわ!ですからそんなに悲しいお顔をなさらないで!」
「……本当ですか?」
「はい!」
「勿論ですわ!」
窺うようなドーラちゃんの問いかけに、お嬢様方が力強く答えます。
ドーラちゃんの目がキラリと光り、また輝く笑顔を振り撒きます。
「はうう……っ!!(ぽぽっ)」
「良かった!美しい皆さんには、笑顔が一番似合いますからね!では、急ぎますので私はこれで。いずれまた、どこかでお会いしましょう。……モモ、行くよ」
『……はっ!う、うん!』
呆気に取られていたモモちゃんにドーラちゃんが素早く耳打ちし、お嬢様方が我に返らないうちにさっさとお店を出ます。
『……ドーラちゃん。……さっきの』
「時間があれば、もう少し遊びたかったんだけどねー。今日は無いから、残念だけど仕方ないね」
『……ドーラちゃんって……』
「さ、また捕まらないうちに、戻るよー」
ドーラちゃんのルーラで、ルラフェンに戻ります。
『ドーラちゃん、場所の当てって?どこで作るの?』
「先生のお宅か、宿で頼むか。どっちも無理なら外だけど、まあ大丈夫でしょ」
『そうだね!それじゃ、ベネットさんのところだね!』
「先生!お邪魔致します!」
「おお、我が助手……か……?」
男装のドーラちゃんを見て、ベネットじいさんは驚き戸惑っています。
「こんにちは、先生!突然ですが、台所をお借りできないでしょうか!」
「……間違い無く我が助手じゃの。好きに使うが良いが、その格好はなんじゃ」
「ありがとうございます!一種の処世術です!では、お借りしますね!」
「……うむ」
今ひとつ納得し切れない様子のベネットじいさんを置いて、台所に入ります。
『ドーラちゃん、なに作るの?』
「ブラウニーにしようかなって。簡単で美味しいし、失敗しにくいし。食べやすいし、みんなに配るのにいいかなって
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