番外編:バレンタインだよドーラちゃん
[1/8]
[8]前話 前書き [1]次 最後
『バレンタインだよ、ドーラちゃん!』
キラキラした瞳で、モモちゃんがドーラちゃんを見詰めて訴えかけています。
大きいモフモフ可愛いです。
「なにそれ、おいしいの?」
対するドーラちゃんはポカーンとして、ボケてます。
こんな対応でも可愛いとは、美少女とは得なものです。
初見なら誤魔化される可愛さですが、さすがに慣れてるモモちゃんには通用しないようで、胡乱な目で見返しています。
『……ドーラちゃん』
「ごめん、冗談。でも、……あるの?この世界に」
『うーん。人間の世界のことは、あたしはよくわかんないけど。ドーラちゃんが知らないなら、無いのかな?たぶん』
「だよね、無いよね。そんなキャンペーンを仕掛けるほど積極的にチョコレートを売りたがる人もいないだろうしね」
見た目は美少女でも、流石の残念女子です。
女子力を示すイベントに対する十六歳美少女のコメントとしては、残念極まりないです。
残念ではない元女子高生のモモちゃんが、憤慨している模様です。
『そんな前世的な夢の無い大人の事情はどうでもいいの!そうじゃなくて!問題は、この世界にバレンタインがあるかどうかじゃなくて!あたしたちが、知ってるってことなの!』
「それの、何が問題なの?」
『だから!ヘンリーさんも、知ってるでしょ?』
「それはもちろん、知ってるよね」
『だから!期待してると思うの!』
「……ええー?……それは無いんじゃないー?」
『なんで!?』
モモちゃんが凄い勢いで聞き返してます。
文字通り、食い付きそうな勢いです。
いくら可愛いモフモフでも大きい肉食獣でもあるので、ドーラちゃんじゃなかったら逃げ出しててもおかしくないですね!
別の意味で、ドーラちゃんも引いてますが!
「え、えっと。だってこの十年間、そんなのやってこなかったし。今さら前世のそんなイベントとか、いちいち思い出さないんじゃないかな、って」
『そんなことない!だってそれは、二人きりになれるプライベートな時間なんて全然無かった、奴隷だったときの話でしょ?やったとしても、他の男の人とまとめて義理扱いされちゃって当たり前みたいな、奴隷だったときの話でしょ!?』
「そ、そうだね」
モモちゃんは更にエキサイトしてきた模様です。
ドーラちゃんは完全に気圧されています。
『それが今!!せっかく、好きな女の子と二人きりで旅をしてるのに!!こんな恋愛イベントをスルーされちゃうなんて、そんな悲しいこと無いと思うの!!』
「いや二人きりって、そんな。みんなもいるし」
『人間は二人だけじゃない!!ライバル不在なんだから、二人きりって言っても過言ではないと思うの!!』
「いや過言じゃないかな、それは」
『とにかく!!これま
[8]前話 前書き [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ