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ドラクエX・ドーラちゃんの外伝
番外編:バレンタインだよドーラちゃん
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『バレンタインだよ、ドーラちゃん!』

 キラキラした瞳で、モモちゃんがドーラちゃんを見詰めて訴えかけています。
 大きいモフモフ可愛いです。

「なにそれ、おいしいの?」

 対するドーラちゃんはポカーンとして、ボケてます。
 こんな対応でも可愛いとは、美少女とは得なものです。

 初見なら誤魔化される可愛さですが、さすがに慣れてるモモちゃんには通用しないようで、胡乱な目で見返しています。

『……ドーラちゃん』
「ごめん、冗談。でも、……あるの?この世界に」
『うーん。人間の世界のことは、あたしはよくわかんないけど。ドーラちゃんが知らないなら、無いのかな?たぶん』
「だよね、無いよね。そんなキャンペーンを仕掛けるほど積極的にチョコレートを売りたがる人もいないだろうしね」

 見た目は美少女でも、流石の残念女子です。
 女子力を示すイベントに対する十六歳美少女のコメントとしては、残念極まりないです。

 残念ではない元女子高生のモモちゃんが、憤慨している模様です。

『そんな前世的な夢の無い大人の事情はどうでもいいの!そうじゃなくて!問題は、この世界にバレンタインがあるかどうかじゃなくて!あたしたちが、知ってるってことなの!』
「それの、何が問題なの?」
『だから!ヘンリーさんも、知ってるでしょ?』
「それはもちろん、知ってるよね」
『だから!期待してると思うの!』
「……ええー?……それは無いんじゃないー?」
『なんで!?』

 モモちゃんが凄い勢いで聞き返してます。
 文字通り、食い付きそうな勢いです。

 いくら可愛いモフモフでも大きい肉食獣でもあるので、ドーラちゃんじゃなかったら逃げ出しててもおかしくないですね!
 別の意味で、ドーラちゃんも引いてますが!

「え、えっと。だってこの十年間、そんなのやってこなかったし。今さら前世のそんなイベントとか、いちいち思い出さないんじゃないかな、って」
『そんなことない!だってそれは、二人きりになれるプライベートな時間なんて全然無かった、奴隷だったときの話でしょ?やったとしても、他の男の人とまとめて義理扱いされちゃって当たり前みたいな、奴隷だったときの話でしょ!?』
「そ、そうだね」

 モモちゃんは更にエキサイトしてきた模様です。
 ドーラちゃんは完全に気圧されています。

『それが今!!せっかく、好きな女の子と二人きりで旅をしてるのに!!こんな恋愛イベントをスルーされちゃうなんて、そんな悲しいこと無いと思うの!!』
「いや二人きりって、そんな。みんなもいるし」
『人間は二人だけじゃない!!ライバル不在なんだから、二人きりって言っても過言ではないと思うの!!』
「いや過言じゃないかな、それは」
『とにかく!!これま
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