第三章 始祖の祈祷書
第二話 ルイズの恋心
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…あっ」
ルイズが士郎に向かって何かを言おうとしたが、それを遮るように士郎がルイズの頭に置いていた手を動かした。
「もう夜遅い、明日も学校だ。そろそろ寝ようか」
「あ……うん、そう、ね……」
士郎の言葉に、渋々といったようにルイズは頷くと、ゴソゴソと体を動かして隣に眠る士郎に寄り添った。
ああ、何か懐かしいと思えば、そうか、イリヤだ……。
寄り添うように近寄ってきたルイズに、驚きながらも、どこか懐かしい思いに囚われた士郎は、その理由に気がつくと、懐かしげに目を細め、再度ルイズの頭に手を置く。
自分よりも高い体温、甘酸っぱいような香り、頭に置いた手に感じる柔らかな髪の感触……細々としたところは違うが、似たような感覚を得た士郎は、まだ彼女が傍にいた時の事を思い出し、かつて彼女にしたように、頭に置いていた手を背中の方に移動させると、まるで小さな子供をあやすように軽く、優しくぽんぽんと撫でるように叩き始める。
しばらくすると、ルイズから寝息が聞こえ始めたことから、士郎は小さく欠伸をすると、先ほどから感じていた眠気に身を委ねるように目を閉じた。
士郎から寝息が漏れ始めてからしばらくすると、ルイズはゆっくりと身を起こした。
「……少しは焦ってくれてもいいのに……」
不満げに声を漏らしたルイズは、雲が晴れたのか、月明かりで微かに見える士郎の寝顔を見つめた。
「初めてだけど……二回目ね」
最近の自分の態度に士郎が戸惑っていることは理解している。
きっと士郎のことだ、自分の態度の変化の理由にはきっと気づいていない。でも、ルイズにはそれでも良かった。
姫さまの密命の旅では、本当に色々なことがあった。傭兵に襲われたり、皇太子が変装した海賊に拉致されたり……アルビオンに着いたら着いたで、ワルドと結婚式を挙げるわ、それを拒否すると司祭の役をしていた皇太子がワルドに殺されたり……そのワルドを態度が豹変した士郎が……
あれは、なんだったんだろう……アルビオンから脱出した際、さりげなく聞いてみたが何も話さなかったし、魔法学院に戻ってからも、何度も士郎に聞こうとしたが、結局今まで聞くことが出来なかった。士郎のあれ……空に逃げたワルドに向けて放った歪な矢。今までに感じたことの無い、異常としか言いようのない力……。
「あれは、なんだったの士郎……」
眠る士郎に声を掛けるが、士郎はもちろん答えなかった。
士郎が眠りに着くまで、自分の頭を撫でていたように、ルイズは士郎の頭に手を置くと、同じように優しく想いを込めて撫で始めた。
そして、士郎の頭を撫でながら、ルイズは士郎が眠る前、先程
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