第三章 始祖の祈祷書
第二話 ルイズの恋心
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ては、今の士郎の言葉は信じられなかった。なにせ、あのグリフォン隊の隊長であるワルドを軽々と倒してしまうほどの実力を持っている士郎が、剣の才能が無いなどとは、到底納得することなど出来なかった。
「ああ、俺は一つのことを覚えるためには、十以上繰り返さなければ覚えられない、一つの技を習得するためには、百以上繰り返さなければ習得出来ない、どんなに鍛えたとしても、英雄と呼ばれる者たちのように、超一流になることは出来ない、どんなに努力したとしても精々一流が限度だな……」
「……でも、一流にはなれるのよね」
士郎の言葉に、どんなに努力したとしても、結果が全く現れない自分のことを振り返ったルイズは、ポツリと羨むような声を出すと、ポンッ、と士郎の手がルイズの頭に乗せれられた。
「あっ……」
「ルイズ、剣と魔術の実力のつき方は全く違うものだ。剣の実力は、努力すれば誰でもある程度は付くようになるが、魔術の実力は、いくら才能があったとしても、扱う魔術との相性などが良くないと思うように実力が付かないものだ」
「……ん」
ルイズは暗闇の中、赤くした顔を俯かせながら、士郎の言葉に頷く。
「かく言う俺も十八を過ぎるまでは、まともに魔術を使えなくてな」
「ふ〜ん……え?」
士郎の言葉に、顔を赤くしながら頷いていたルイズは、またもや予想外の士郎の言葉に驚きの声を上げた。
「ど、どういうこと?」
「まあ、簡単に言うとな。俺は十八を過ぎるまで、自分のことをあまりにも知らなすぎたということだ」
「自分のことを、知らなすぎた?」
士郎の言葉に、ルイズはベッドの上で仰向けに寝ながら、器用に首を傾げると、それに合わせるかのように、士郎は話しを続けた。
「ああ、ルイズに分かりやすく言うのなら、自分の系統を知らずにただ闇雲に練習していたようなものだな。だから魔術を使ったとしても、ある程度形にはなるが、中身が無い、といった感じになったんだ」
「その……わたしの爆発みたいな感じ?」
「まあ、そのようなものだな」
ルイズがおずおずと士郎に声を掛けると、士郎は何の気負いも無く頷いた。
士郎の返事を聞いたルイズは、わずかに喜色を顔に浮かべたが、慌てて士郎から顔を逸らした。
「だが、ある時、自分のことを知ってからは、それを理解して魔術を使うようになると、魔術が成功するようになったんだ」
ふむ、そろそろルイズに話すべきか?
「だからなルイズ、お前も焦らなくても良い。いずれ君に合う系統がわかる……きっとな……」
「シロウ?」
士郎の言葉に何かの含みを感じたルイズは、訝しげに士郎の顔があるだろう方向に顔を上げるも、相変わらず士郎の顔を見ることは出来なかった。
「シロウ、あのね……その…
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