第三章 始祖の祈祷書
第二話 ルイズの恋心
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イズは顔をますます真っ赤にさせていたが、突然持っていた寝巻きを背中に隠すと、後ずさりながら顔がブレる程の速度で左右に振り始めた。
「あっ、アハハ……うっうそうそ。その、そのねっ……ちょっとからかっただけなのっ! ほらさっさと出ていく、着替えるんだからもうっ!」
「あっ、ああ」
士郎はルイズの突然の態度に戸惑いながらも、ドアに向かい、ドアノブに手を伸ばした瞬間、後ろからルイズのぼそぼそとした声が聞こえた。
「しっ、シロウ……今日も一緒に……その……ね……寝てくれる……」
「あっ……ああ、別に構わないが」
「そっ、そう!」
士郎が戸惑いながらも頷くと、ルイズは妙に弾んだ声で頷いた。
「そっ、それじゃ、先にベッドにいるから……ね」
「士郎の世界には、魔法使いが五人しかいないのよね」
「? あ、ああ」
夜、士郎はルイズに言われた通り、ルイズと一緒のベッドの中で横になっている。
すると、士郎がルイズのベッドの中に入ってしばらくして、ルイズが唐突に話しかけてきた。
「でも、その代わりに魔術師がいるのよね」
「まあ、な」
「それで、士郎もその内の一人なのよね」
「そうだが、いきなりどうした?」
「……」
急にどうしたんだルイズは?
唐突なルイズの質問に、士郎が疑問を浮かべるも、暗い天井を眺めながら相槌を打つと、ルイズは少し黙った後、また士郎に話しかけてきた。
「士郎は前に言っていたよね、自分は三つしか魔術を使えないって」
「ああ、確かに言ったな」
「その、ね……その」
「?」
ああ、そうか……全くルイズは優しいな。
何か言おうとするも、躊躇う様子をとるルイズに、何を言おうとしているのか予想がついた士郎は、暗闇の中、苦笑すると、ルイズに優しく話しかけた。
「ルイズ、もしかして、俺の魔術師としての実力を知りたいのか?」
「っ! ご、ごめんなさい……その」
「謝るようなことではないさ、隠すようなことでもないしな……まあ、そうだな、俺の魔術師としての実力は、三流以下と言ってもいいぐらいだな」
「えっ……そう、なの?」
ルイズが暗闇の中、予想していた答えにも関わらず、士郎の答えに驚いたルイズは、隣にいるはずの士郎に振り返るも、雲がかかっているのか、明かり一つない部屋の中では、士郎の顔を窺うことは出来なかった。
「ああ、俺は才能というものに全く恵まれていないようでな、魔術の才能も……剣の才能にもな」
「えっ! 士郎に剣の才能がない?」
ルイズは驚きのあまり、思わず見えないはずの士郎の顔をまじまじと見つめてしまう。
魔術の方は良く分からないが、剣の方は、士郎の戦いを何度も見たことのあるルイズにとっ
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