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剣の丘に花は咲く 
第三章 始祖の祈祷書
第二話 ルイズの恋心
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っただろうし、不安になるのは仕方ないか。
 
 士郎が的外れなことを考えて勝手に納得していると、教室にコルベールが入ってきて、授業が始まった。

 




「さてと、皆さん」
 
 コルベールは禿げ上がった頭を、ぽんと叩く。
 彼はついこの間までは、ロングビルが家出した! 学院長のセクハラでついに逃げ出してしまった! と騒いでおり、それに同調した学院の女性たちと一緒になり、学院長に『もうセクハラをしません』と一筆書かせた誓約書を書かせるなどの快挙を成し遂げ、最近女生徒たちからの人気が上がっているのであった。
 その彼が今、妙に機嫌が良いのは、別に女生徒達からの人気が上がったからではなく、何よりも好きな研究を発表出来る機会である授業が始まるからであった。
 
 士郎は最初、コルベールの事は警戒していた。落ち着いた雰囲気を漂わせ、生徒想いなところを見ても、彼から匂う血の匂いが士郎に警戒心を抱かせていた。
 しかし、何度もコルベールと話しをすることで、彼が本当に優しい人だということを理解してからは、趣味があったことからも、教師の中では一番仲良くなったのだった。

 へぇ、コルベールさんの機嫌がいいな、とういうことはアレ(・・)が完成したのかな?
 しかし、本当にすごいな。もしかしたら彼は、エジソンやノーベルと並ぶ天才なのかもしれないな。

 コルベールは嬉しそうにニコニコと笑いながら、教壇の上に、でんっ! と机の上に妙なものを置いた。
 
「それはなんですか? ミスタ・コルベール」
 
 生徒の一人が質問する。
 それは奇妙なものだった。
 長い、円筒状の金属の筒に、これまた金属のパイプが延びている。パイプはフイゴのようなものに繋がり、円筒の頂上には、クランクがついている。そしてクランクは円筒の脇にたてられた車輪に繋がっていた。
 そしてその車輪は扉のついた箱に、ギアを介してくっついている。
 
 おお、設計図の通りだな、さて、ちゃんと動くかが問題だが。
 
 士郎が知らずの内に手に汗を握り、若干身を乗り出し気味に見ていると、それに気付いたキュルケとルイズも興味深げに見始めた。
 ……タバサは相変わらず本を読んでいた。
 コルベールはおほん、ともったいぶった咳をすると、語り始めた。
 
「えー、“火”系統の特徴を、誰かこのわたしに開帳してくれないかね?」
 
 そう言ってコルベールは、教室を見回すと、教室中の視線がキュルケに集まった。ハルケギニアで“火”といえば、ゲルマニア貴族である。その中でもツェルプストー家は名門であった。そして彼女も、二つ名の“微熱”の通り、“火”の系統が得意なのであった。
 キュルケは面倒だと思いながらもしっかりと答えた。

「情熱と破壊が“火”の本領です
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