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剣の丘に花は咲く 
第三章 始祖の祈祷書
第二話 ルイズの恋心
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 どこの世界も女は噂好きか……。
 
「ねえルイズ、あなたたち、授業を休んでまで一体どこに行っていたの?」
 
 腕を組んで、そう話しかけたのは“香水”のモンモランシーであった。
 

 まあ、妥当か……。
 
 周りからどんなに質問されても、キュルケは優雅化粧を直し、タバサはじっと本を読んで相手にしていない。
 タバサはぺらぺらと話すような性格ではないし、キュルケはお調子者のように見えるが、しっかりとしており、口は軽くないだろう。  
 なら口を開く可能性があるのは、あとはルイズと……。
 
「はぁ、またか(・・・)、少しは考えろ……」


 士郎はため息をつくと、クラスメイト達に取り囲まれて浮かれているギーシュに近づいていく。

「あっはっはっはっ! そんなに君たちは聞きたいのかね? ぼくが経験した秘密を知りたいかね? ふっふっふっ」
 
 ギーシュは女生徒に取り囲まれて鼻を伸ばすと、足を組みながら人差し指を立てると、ニヤニヤしながら口を開いた。

「実はだっ――! 何をするん……だ……ね……シ、ロウ……さん……」
「お前は何をしているんだギーシュ」

 頭に走った衝撃に驚いたギーシュは、頭に手を当てながら慌てて振り返ると、呆れた顔をした士郎が立っていることに気づくと、冷や汗を垂らしながら崩れた笑顔を浮かべた。

こいつは本当に事の重大さを分かっているのか?

「ギーシュ……口が軽いと、姫さまに嫌われるぞ」

 士郎が冷や汗を浮かべるギーシュの耳元にぼそっと囁くと、ギーシュは流れる冷や汗を脂汗に変え、頭を壊れた玩具のように上下させた。
 クラスメイト達は士郎とギーシュの様子を見て、「なにかある」と思っていたが、士郎のことにあまり知らないクラスメイトたちは、貴族さえも軽々と倒してしまう士郎に気後れし、近づくことができないでいた。
 
 調子がいいのはいいが、もう少し節度を持って欲しいんだがな、こういうところも似ているか?
 全く、人の噂は七十五日と言うが……長いな……。
 何か皆の意識を逸らすような良い案がないか……ルイズ?

 士郎がクラスメイト達からの質問の矛先を変える方法を考えていると、いつの間にかそばに来たルイズが士郎の外套の端を掴むと、微かに赤く染まった顔を逸らしながら文句を言ってきた。

「いつまで喋っているのよシロウ。さっさと来なさい、もうすぐ先生が来るわよ」
「おっ、おい、ルイズ」

 士郎はルイズから外套を引っ張られると、自然にルイズの隣りの席に着かせられる。
 
 本当にどうしたんだルイズは? これじゃあまるで……はは……まさかな……。
 ないな、ルイズに限って。まあ、多分不安なんだろう、アルビオンでの事は、年頃のルイズには辛いことだ
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