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偽典 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第8章 そして、伝説へ・・・
第肆話 離別
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今しかない」
俺は断言する。
「このまま、ここで暮らしたら、戻りたくなくなってしまうから」
「そして一生、戻らなかったことに、後悔することになるから」
「・・・・・・」
テルルは黙り込んだ。
とりあえずこれで、俺はこの世界から旅立てると思った。
だが、セレンが別の提案をしてきた。
「アーベル、私を連れてって」
「セレン!」
テルルは、驚きと怒りの表情を、初めてセレンに対して向けた。
「テルル、ごめんなさい」
セレンは、テルルと俺に謝った。
しかし、セレンの目は、あきらめてはいない。
「ルビス様、アーベルと同じ世界に行くことができますか」
(それが、あなたの願いなら)
ルビスは、いつものように静かに答えた。
俺は、重い選択を突きつけられた。
外国人排斥法により、国を出ることになった主人公に、一緒につれていて欲しいと迫るヒロインが登場するゲームを思いだした。
まあ、あれは、あくまでゲームの話だから、それほど重くは考えなかったが。
そして、当事者である俺は、答えを言わなければならない。
「セレン」
俺は、セレンに向き直る。
「はい」
セレンも俺に向き直り、見上げる。
「連れて行くことはできない」
俺は、たんたんと結論を述べる。
「ど、どうしてですか!」
セレンは、俺に詰め寄った。
「理由は二つある」
俺は、人差し指を伸ばしながら答える。
「ひとつは、あっちの俺は、この姿ではないことだ」
「?」
セレンは、俺の言葉に首をかしげる。
「あっちの世界の俺は、黒髪黒目だ」
俺は、金色の髪をかきあげる。
「そして、さえないおじさんだ」
俺は、事実をつたえる。
この世界に来る前の俺は、30を過ぎたおじさんだ。
「・・・・・・」
テルルは静かに聞いていた。
「結婚しているの?」
テルルは質問した。
「・・・・・・まだだ。モテないのでね」
俺は、ため息をついて答えた。
「それなら、かまわない。
その人が、アーベルであるのなら」
テルルは、即答した。
「・・・・・・」
俺は思わず、黙ってしまった。
俺は、この世界ではアーベルだが、あの世界ではアーベルではない。
人間は、社会に縛られる。
その関係性の中で生きるのであれば、社会に合わせて言動が変わる。
もちろん、世の中に縛られない人間もいる。
だが、それは、選ばれた限られた人間だけだ。
そして、俺は、そんな強い人間ではない。
「・・・・・・」
俺はその事実をセレンに伝えるとセレンは黙ってしまった。
「そして、もうひとつ」
俺は、中指を伸ばす。
「セレンは、あっちの世界の身体はあるのかい?」
「!」
「無いと思うよ」
「・・・・・・」
「俺の時は、偶然アーベル
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