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偽典 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第8章 そして、伝説へ・・・
第参話 宴のあと
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場の人が現れて、今後の魔法開発計画について、唾をとばしながら、議論をふっかけてきたりした。
だから、さびしいわけではない。
決してさびしいわけではない。
宴会も終盤をむかえ、一息ついたころ、俺は入り口で待機している衛兵に退出を告げると、まっすぐに自宅の前に戻る。
家には誰もいなかった。
父親は、近衛兵として城内の警備にあたっていたし、母親も宴会でセレンと一緒に話をしていた。
自宅に戻ると、あらかじめ用意した書き置きを食卓の上に置く。
それには、
「しばらく、旅に出ます」
と簡潔に書いている。
俺は、アリアハンの街を出て、かつてドラゴラムの訓練を行った場所に向かっていた。
向かう間、俺は精霊ルビスとの会話を思い出していた。
(それならばお願いしたいことがあります)
俺は、ルビスに説明する。
(俺のように、別の世界からこの世界に渡ってきた人たちがいることは、ご存じですか?)
(ええ、承知しております)
(もとの世界に戻ることはできますか?)
俺は願いに関する核心を突いた。
(そうですね。
あなたがた普通の人間では、世界を渡ることは非常に難しいですね)
(そうですか)
俺は、自分でも驚くべきことに冷静だった。
(魔族やモンスターであれば、彼らの持つ闇の力によって世界を渡ることができます。
彼らはそのことを「暗黒回廊」と呼んでいるようです)
(そうですか・・・・・・)
俺は、暗黒回廊という言葉に何か不吉な予感がしたのだが、
(!
まさか、ゾーマは!)
俺は、驚愕する。
今ここでゾーマを倒しても、暗黒回廊で逃げ出したら、俺の目的が果たせないではないか。
(問題ありません)
精霊ルビスの口調は冷静だ。
(暗黒回廊を利用するには、膨大な魔力が必要です。
闇の衣を身にまとったゾーマといえども、あらかじめ入念な準備を行わなければ無理でしょう。
それに)
精霊ルビスが一息つくと、
(数年前に、一人の部下を送還したときに、使用しています。
闇の衣をまとった状態ならばともかく、あなたの持つ光の玉で闇の衣をはがされた状態では、あらかじめ逃走の準備が整っていたとしても、魔力からすれば最低でも、あと数年は使用できないでしょう)
それならばと、俺はひとまず安心する。
(話を戻します。
普通の人間には難しいですが、私が本来の力を取り戻したら、元の世界に戻すことは可能です。
今は、ゾーマの力で抑えられていますが、ゾーマが倒されたならば、私は力を取り戻すことが出来ます)
(そうですか)
俺は納得する。
ゲームでクリアしたときも、精霊ルビスがアレフガルドを光の世界へと取り戻した。
(ただし、私の力でもとの世界に移行できるのは、あなた方の言葉で魂と呼べる部分です)
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