バレンタインデーキッズ 〜名誉をかけて〜
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う種族はいねーから!」
「いいやここにいる!それとも君は僕の価値観を無視しそれを容赦無く踏みにじってドブに捨てる気かい!?もしそのつもりなら僕は全世界の人の価値観をゲシゲシに踏んづけてビリビリに引き裂いてグチャグチャに挽き潰してやる!」
「あのなぁ!」
うるさいうるさいうるさい。こいつはチョコでその愛を表されているからこんなに優しい人ごっこが出来るんだ。いつも優しいのは富める者だ。
あぁイライラするイライラするイライラする
「割れちまえ割れちまえ割れちまえ」
僕は気づくとブツブツ呟いていた。そうしながら、気分の昂ぶりを感じていた。
「何言ってんだよ」
「チョコなんて全部割れちまえばいいんだ」
僕の右手が早鐘を打つ。あれ、右手に心臓は無いのに?
「まずは弟のチョコだ、あれを握りつぶせばさぞスッキリするだろう」
僕はゆっくりと右手を開いた。するとそこにさっきのリボンが、さっきの箱が見えた気がした。
「おいお前、縁起でもないことを……」
「割れちまえ割れちまえ割れちまえ」
僕の中で血液が巡る。血液には何が溶けている?学校で習った。でも、本当にそれだけ?
「割れちまえっっっ!!!!」
僕は指の第二関節が支障をきたす位に強く強く右手を握り締めた。
パギャッ!
それと同時に、弟のバッグから何かが壊れたような音が聞こえた。
「!!」
いつもなら疑問しか湧いてこないだろう。だが今の僕は違う。
「……バッグの中を、見たほうがいいんじゃないか?」
僕はニンマリと笑った。
「な、なんだよ……!」
僕のその余裕タップリの表情に不安を感じたのか、弟が慌てたようにバッグを漁る。
愉悦、愉悦。
弟が先程の箱を持ち上げると、不揃いな欠片が転がるバララという音がした。さっきまではしなかったのにね!
「ハァーッハッハッハ!」
僕は笑った。大いに笑った。僕を裏切った罪だ!罰だ!ドストエフスキーだ!
「兄てめぇ!」
弟は僕を睨みつけた。
「ハッハッハ……いやぁすまない」
僕は素直に謝罪した。
「別に君が第一被害者だからって、特別恨んでいたわけじゃぁないんだよ?」
「そういうことじゃねぇだろ!」
「ハハハハハ!吠えるのはいいよ!大歓迎だよ!もっと怒ってよ!もっと憎しみを僕に見せてよ!」
そうか、富める者はこういう気分なのか。今まで石を投げられるのは怖かったけど、今そんなことをされても嫉妬にしか思えない。笑いすらこみ上げる。
「これ作るのにこの人がどれだけ苦労したのか……」
「知らぬ効かぬ堪えぬわぁ!違う違う違うんだよ!苦労して作った物を、汗水の結晶を、安全な場所に保管しないのが悪いんだよねぇ!そんなところに置いといたら下駄箱が燃えたり校舎が潰れたり流星群が襲いかかったりしたら一瞬でパーじゃ
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