第五章
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の引き分けが利いた。巨人は勝てなかったのだ。そしてヤクルトは見事初優勝を達成した。
「監督、おめでとうございます」
皆が広岡を称える。だが広岡は眼鏡を正して静かに言った。
「当然のことを自然にしただけです」
素っ気なかったがそれは勝利者の言葉であった。巨人に勝った、だからこそ優勝できた、彼にとっては最高の勲章であった。
そうした実績があった。ここでもそれを発揮したのだ。
二人は江夏を細部まで研究した。そして遂に彼の弱点を見つけ出した。
「確かに江夏は凄い男だ」
まずはそう感じた。
かっては目にも止まらぬ剛速球で鳴らした。だが今は流石にそれはない。
しかしその投球術は見事だった。ストレートとシュート、フォーク、そしてスライダーとカーブをミックスさせたような独特の
変化球スラーブを武器に投げていた。球種もそれ程ではない。
だがコントロールが抜群によかった。これは阪神時代から変わらない。
「そして変化球のキレもいい」
森は言った。
「阪神時代からまた凄くなっている」
森は現役時代江夏の最盛期とぶつかっていた。そのボールはそうそう容易には打てるものではなかった。彼もまた三振の山を築いていたのだ。
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