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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第270話】
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 楽しそうな声と共に、近接ブレードの使用許諾が下りると柄を掴み、一気に引き抜く。


「おぉ〜〜。 何だかファンタジーでありそうな光景だね〜」


 背後からパチパチと手を叩く音と共にそんなのほほんさんの声が聞こえる。


「はい。 次はちゃんと自分で抜けよ?」

「は〜い。 ひーくんありがと〜」


 抜いた近接ブレードをそのままのほほんさんに手渡す。

 ……没収すれば、のほほんさんは素手で戦わないといけなくなるが……。

 有利にはなるものの、そんな事をしても恥ずかしいだけなので俺はしない。

 ……と、またものほほんさんが。


「たぁっ! のほほんさんからひーくんに向けての会心の一撃〜!」


 間延びした声と共に、またも振り下ろすのほほんさん。

 一応模擬戦の真っ只中なので、こういうのは卑怯とは思わない。

 バックステップで避けるも、切っ先が僅かにシールドバリアーに触れたのか、エネルギーが減少――。

 そして、振り下ろされた近接ブレードがアリーナの地面に当たると――激しき轟音と共に、大きく土が抉りとられていた。

 あまりの出来事に、何度も瞬きを繰り返し、目を白黒させる俺は今起きた現象が信じられなかった。

 だって……さっきは突き刺さっただけなのに、会心の一撃って言って振るった近接ブレードで土が抉りとられる程の一撃ってなかなか珍妙な光景って言っても過言ではないぞ?


「ひーくんまた避けた〜。 避けたらダメ〜」

「いや……攻撃されたら避けないとダメだろ?」

「てへへ〜、それもそうだね〜」


 邪気も無い笑顔に、模擬戦してるのかしてないのかが疑問に思ってしまう――と。


「……疲れちゃった。 ひーくん、参った〜」

「へ? ……えと……?」


 突然の降参宣言に、試合終了のブザーが鳴り響いた。

 何か対して模擬戦を行ってもいないように感じるのだが……どうしたんだ?


「のほほんさん、どうした? 模擬戦まだ始まってそれほど時間はたってないぞ?」

「うん〜。 でも……のほほんさんはガス欠〜。 会心の一撃で疲れちゃったから甘いもの食べたい〜」


 マイペースを貫き、両手で万歳しながら何かお菓子を思い描いてるのか、じゅるりとよだれが垂れそうになっていた。


「……ははっ、何だかいつもマイペースだな」

「えへへ〜。 ……あ、模擬戦付き合ってくれてありがとね〜。 ISの事、また少しわかったよ〜」


 満足そうに笑顔で応えるのほほんさんに、苦笑しつつも三回目の模擬戦は終わった。

 マイペースなのほほんさんだが……何となく、これは彼女自身が演じてるのではと時折思ったりするが―
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