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久遠の神話
第七十九話 次期大統領としてその三
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 逆に自分を知らないで他人も知らなければどうなるか、それこそである。
「彼等は何でもありません」
「自分達が言う様な存在では、か」
「ありません」
 間違っても国士なり愛国者ではないというのだ。ましてや彼が理想としていると思われる志士でもないというのだ。
「ただの差別者です」
「差別者か」
「あらゆる、自分達以外のものを差別する」
「醜い連中なのだな」
 領事はアメリカ人の多くの倫理観から述べた。現代のアメリカでは差別主義者であることはそれだけで倫理に反しているとみなされるのだ。
 それでだ、領事も今言うのだ。
「日本にも問題があるな」
「問題のない国はないですね」
「クー=クラックス=クランの様なものか」
「実際に動くとすればデモ程ですが」
 クランは実際に動いた、アフリカ系やユダヤ系彼等を擁護する者達に対してリンチを行ったのだ、犠牲者も多く出た。
 そうした凶悪な行動を繰り返していた、だが彼等はというのだ。
「彼等はネットで騒ぎ」
「そしてだな」
「後はデモで騒ぐだけです」
「その程度の連中か」
「所詮小者です」
 それに過ぎない、スペンサーは軽蔑と共に言い捨てた。
「やがて衰え消え去るでしょう」
「ならいいがな」
「そしてですが」
 スペンサーは話題を変えた、その話題はというと。
「大統領が変わることは確実です」
「アメリカの政策も変わるな」
「重要な政策は今すぐにでもですね」
「止まるな」
「はい、すぐに」
 そうなるというのだ。
「軍事政策においても」
「君に直接関わる政策もだな」
「そうなりますね」
「もう大統領はホワイトハウスを去る」
 今の大統領、彼がそうなることは確実だ。何しろ落選したからだ。
「それならだな」
「もう今動いても無意味ですから」
「落選し任期切れを待つだけか」
 そしてそれはどういったものか、領事は自分の言葉で言った。
「レームダックだな」
「完全にですね」
「しかも大統領だけではない」
 レームダックなのは彼だけではないというのだ、これも選挙の結果だ。民主政治においては選挙は絶対のものなのだ。
「共和党自体がな」
「上下両院も知事選挙も」
「そして多くの州の議会でもな」
 アメリカは連邦国家だ、実質には国家連合と言ってもいいまでに各州の権限が強い。知事も議会もかなりの権限があるのだ。
 そしてそのどちらでもだ、共和党はというのだ。
「負けたからな」
「暫くは何も出来ませんね」
「全く動けないな」
「そうなりますので」
「本当に重要な政策は止まる、いや」
「終わりますね」
「中断という形でな」
 そうなるとだ、領事は言った。
「共和党、ネオコンの政策は大抵がな」
「かなり変わりますね」
「少なくともネオコ
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