第49話 「男子誕生」
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しかしさっさと帰られては、どうしようもない。
あーもー。両軍出動、されど武力衝突はなしか……。
戦術ではなくて、戦略。いや……政略的な面のみが残る。
こっちの状況を読んだな。しかしいったい誰が、作戦を主導した事やら……。
警戒が必要だ。
フェザーンが所有している同盟の国債を盾に、けつに火をつけても良かったんだが、そうそう使える手じゃねえしな。
それにしても、よくやるもんだ。
こんな作戦はヤンじゃねえな。あいつじゃあこんな作戦を思いついても、採用させるような、積極性が足りない。
となるとほんとに誰だよ。
あたまいてー。
■ノイエ・サンスーシ シュザンナ・フォン・ベーネミュンデ侯爵夫人■
アレクシアさんが産気づきました。
ノイエ・サンスーシ内の医療室での出産です。皇太子殿下に真っ先にお知らせしたものの、宰相府は同盟と戦闘に入るか、入らないのかという問題が起こっており、皇太子殿下は各部署、各地域に情報を手に入れるように申し付けていて、騒然としておりました。
「ラインハルト」
慌ただしく動いていたラインハルトを呼び止めます。
「ベーネミュンデ侯爵夫人? どうしましたか?」
ラインハルトもどこかそわそわした態度でした。あいかわらずこの部屋は、熱気というか活気に溢れていますね。
「アレクシアさんが、産気づきました。いま手術室に向かっています。皇太子殿下に知らせて下さい」
「はいっ」
まあ、ラインハルトもうれしそうですこと。
意外と子ども好きになったのかもしれませんね。マクシミリアンだけでなく、皇太子殿下の子ですもの、かわいがると思います。
「皇太子、アレクシアさんが赤ちゃんを産むために、手術室に向かったそうです」
ラインハルトが、宰相府の宰相執務室の壁際に設置されている、モニターの大画面を立ったまま睨んでいる皇太子殿下を見上げながら、声を掛けました。
よほどの事態なのでしょう。こちらに背を向けている皇太子殿下の背中に、力が篭っているのが分かります。
それともわたくしが知らなかっただけで、皇太子殿下はいつもこの様に、真剣に向き合っておられてきたのでしょうか?
二百五十億の帝国臣民を背負う。背負う事ができるお方。マクシミリアンを、このお方みたいになるよう、育てなければなりません。わたくしはまだまだ認識が甘かったみたいです。
ラインハルトの言葉を聞かれた皇太子殿下は、ラインハルトに向き合っていた目を一瞬、画面に視線を走らせてから、手元にある小さなモニターに手を伸ばしました。
どこに? という疑問はすぐに分かりました。
「ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウムだ。アレクシアが産気づいたようだな」
「は、はい。その通りでございま
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