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駄目親父としっかり娘の珍道中
第50話 決め台詞は【アポ!】
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アンモニア臭に似た匂いがした。
「は、長谷川さん、もしかして……」
「だって、だってよぉぉぉ〜〜〜」
 再び号泣しつつ立ち上がれないまま長谷川は新八と神楽に縋るような目線を向けていた。
 そんな長谷川に対し、新八と神楽の二人はどうしたら良いか困った顔をしていた。
 助けないといけない、と言うのは分かるのだが、すっかりビビリ切っている上に失禁までしてしまっている38歳のおっさんを助けなければならないと言う事実に何となく嫌そうな感じになっていたのだ。
「ど、どうしよう?」
「意地悪しないで起こしてくれよ〜〜〜〜!」
「はぁ……」
 半ば諦めたかの様に新八が近づいて長谷川に手を伸ばしてきた。その最に長谷川の周囲に溜まっている汚れた水溜りに触れない様に慎重になりながらも。
 震える手で長谷川は手の伸ばして新八の手を握った。新八はそれを感じ取り、長谷川の手を強く握り締めた後、力一杯腕を引っ張って長谷川を起こした。何とか起こせたのは良かったが、未だに長谷川の両足は内股でガクガク震えている様子が見て取れる。相当なまでにビビッてしまっているようだ。
「長谷川さん……ズボンがびしょ濡れですよ」
「マジかよ……俺、もう38歳なんだぜ。それなのに、こんなに派手にやっちまうなんてよぉ」
 再び盛大に涙を流してしまい、思わず足が砕けてしまいそうになるのを必死に堪えていた。目の前で神楽が両腕を鳴らしながら【今度またしゃがみこんだら思いっきり横っ面を殴るぞゴラ!】と言う目線で睨んでいた。
 そんな訳で新八と神楽の二人は震える長谷川を引き連れて先ほどの部屋に入った。幸い部屋の中には縛られた女性以外は誰もいなくなっている。どうやら先ほどの轟音のお陰で中に居た殆どが血眼になって辺りに散らばってしまったようだ。
 災い転じて福を成すとはこの事だろう。幸いにも労せず女性を助ける事が出来るのだから。
「大丈夫ですか? しっかりして下さい」
「うぅ……あ、貴方達は?」
 相当痛めつけられていたのか、気を失っていた女性が顔を見上げて新八達を見る。先ほどの老人や浪人達の姿がない変わりに新八達が居る事に少し驚いていた。
「落ち着いて下さい。僕達は貴方を助けに来たんです」
「もう大丈夫アルよ。安心して良いアル」
 そう言いつつ、神楽は女性を縛っていたロープを半ば力任せに引きちぎって女性を自由にしてあげた。
 相当弱っていたせいか自由になった際に女性はふらつき、倒れそうになってしまったのを、間一髪新八が手を伸ばして支えてくれたお陰で何とか倒れずに済んだ。
「あの、貴方達は確か、スナックで会った人達ですよね?」
「はい、そうです。貴方が僕達の家に赤ん坊を置いて行ったお母さんですよね?」
「はい、そうです。あの……あの子は、勘七郎は無事なんですか?」
 女性が新八
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