第50話 決め台詞は【アポ!】
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がこれまた長谷川へと向けられる。
「おい、これは一体どう言う事だ? 何だあの穴は?」
「ししし、知りません! 私も今しがた気付いたんですよ!」
「嘘をつけ! さっきの音からして此処からそう離れてないだろうが!」
「ほ、本当なんですよぉ! 信じてくださいよぉ!」
グラサンをしているお陰で目は見えないが、其処から大量の涙が零れ落ちているのが見て取れた。長谷川のビビリも既に頂点に達してしまったのか、その場にへたり込み両手を目の前で合わせてまるで神にでも縋るかの様に必死に弁解していた。
「私、此処に入ってまだ日が浅い新人なもんで、右も左も分からない状態なんです! だからいきなりそんないちゃもんつけられても答えようがないんですよぉ!」
「むむぅ……」
「お願いですよぉ! どうか、どうか命ばかりはご勘弁をぉぉぉぉ!」
ついには大の大人が床に頭を下げて大声で泣きじゃくりし始めてしまった。流石にここまでやられてしまうとちょっとやりにくい感じになってしまった浪人達。さっきまでの殺意に満ちた目線も消え去り、一同はどうしたら良いのか困り果ててしまった。
「おい、他所を探しに行くぞ」
「だが、こいつはどうする?」
「こんな腰抜けがあんな大穴開けられる筈がないだろう。きっとそいつは捨て駒だ。放っておけ」
「ちっ!」
軽く舌打ちし、浪人達は部屋の入り口前まで戻って行った。すると、その入り口から例の老人がゆっくりと姿を現してきた。
以前であった優しそうな顔とは裏腹に、まるで狂気に満ちた目をしていた。
「何をぼやぼやしているんだ! さっさと探して来い! もしかしたら勘七郎を匿っている例の浪人が紛れ込んでいるかも知れんぞ」
「分かりました! 至急くまなく探して参ります!」
「急げよ! 全く、この大事な時に限って……」
浪人達を散らばらせた後に、老人はブツブツと文句を垂れながら部屋を後にした。苛立ちに任せてか部屋の扉を蹴って閉めて行った辺り、恐らく鍵は閉めていないのだろう。
歩き去って行く音が消えたのを判断した後、ダンボールに隠れていた神楽と考える人に扮していた新八が動き始める。
「上手く誤魔化せたみたいですね」
「やばかったアル。もう少し身長に行動した方が良いアルね」
「”慎重”ね。後その言葉を神楽ちゃんが使うのはおかしいよ」
何事もなかったかの様に先ほどの部屋へと入りに行こうとする両者。だが、その時背後から掠れた声が聞こえてきた。言わずもかな長谷川の声である。
「お、お前等〜〜〜。俺を起こしてくれ〜〜〜」
見れば、其処にはすっかり腰を抜かしてしまい自分の力で立ち上がれないでいる長谷川の姿があった。しかも、長谷川の足元には楕円状に水が広がってるのが見える。只の水溜まりかと思ったのだが、色が微妙に黄色掛かっているし、何所となく
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