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駄目親父としっかり娘の珍道中
第50話 決め台詞は【アポ!】
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ホだろ! 馬鹿だろお前!」
「長谷川さんも何時までも騒いでないでさっさと隠れた方がいいですよ」
「そ、そんな事言ったって……」
 かなり焦り気味に長谷川は何か隠れる物がないか辺りを見回しだす。だが、悲しい事に周囲に長谷川の身を隠せるほどの物は見当たらない。
 有ったのと言ったら小物を入れる程度の大きさのダンボール、ガラスケースに入れられている鎧甲冑、ホルマリンにも良く似たカプセル内で眠っているタイ○ント、ガン○ム、発泡スチロール内に目一杯に詰められた紅鮭、Zガン○ム、その辺を飛び回っていた蝶を貪り食っているカマキリ、ワインを溜め込む酒樽、フリー○ムガン○ム、ect……
「おぉぉおい! 何だよこの廊下! 何でこんな禄でもない物ばっかり置かれてるんだよ! ってか何でガン○ムがあるんだよ! どんだけサン○イズ押しなんだよ! どんだけこの廊下カオスが入り混じってんだよ!」
 流石の長谷川も大声でツッコミを叫ばずにいられなかった。だが、その直後として後ろの扉が勢い良く開かれる。どうやら時間切れだったようだ。開かれた扉から数人の強面の浪人達が現れてきた。その手には既に鈍い輝きを放つ刀を抜き放っており、その目線もまた殺気にギラついていた。
 今すぐに走って逃げようと思ったのだが、生憎この通路は一本道。しかも最奥にある曲がり角までは30メートル近くはある。急いで走った所で確実に目をつけられるのは明白な事だった。
 下手に走って逃げようものなら確実に浪人達に追われて切り殺されてしまうだろう。それならば此処で上手く誤魔化した方が幾分か安全に思えた長谷川の手には、これまた何故か掃除用のモップが持たれていた。
 そして、現在の長谷川の格好は掃除パートのエプロンを身に纏い三角頭巾を頭に被った言わば掃除婦の格好をしていた。
 となれば誤魔化せる方法はこれしかない。長谷川は咄嗟に床をモップで掃除し始めた。
 浪人達がそんな掃除をしている長谷川を目撃してすぐさま近づいて来た。
「おい!」
「は、はい! ななな、何でしょうか?」
 なるだけ怪しまれないように振舞おうとはしていたのだが、内心かなりビビッているせいか声が上ずってしまっていた。
 浪人達の射殺すような目線が長谷川に突き刺さってくる感覚に思わず下半身が震えてしまっていた。
「此処で何している!」
「え、えぇっと……そ、掃除をしていただけなんですよ!」
「掃除だと?」
 明らかに怪しむかの様に浪人達が長谷川を睨んでいる。長谷川の顔が徐々に真っ青になっていく。肩が既にガタガタ震えており、下半身の震えは既にその倍以上に震え上がってしまっていた。
「おい、この壁の穴は何だ?」
 浪人の一人が壁に開いた穴を見つけて指差して見せた。紛れも無く神楽が開けた穴である。
 その穴を見てしまった浪人一同の視線
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