第四十七話 思春期@
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ごく魔法の使い方がおかしく感じるのは、僕の気のせいでしょうか』
「え、便利じゃん」
「すずしー」
『……ますたーの思考って、本当に日常優先ですよねー』
気づけば、いつの間にかリビングにいた自分のデバイスに呆れられていた。……何故呆れる。でもウィンが魔法の冷気に嬉しそうに耳をパタパタしている姿を見て、まぁいいかと結論。そういえば、思い出したけど約束の時間は18時だったから、そろそろ準備しないとまずいな。俺は慌てて時計を見て、勢いよく立ち上がった。
「ウィン、コーラル。待ち合わせの時間にもうすぐなるから、準備しておこうか」
『そうですね。少し暗くなっていますから、気を付けて向かいましょう』
「いよいよだね…。頑張ってね、にぃに」
「ふっ、任せろ。長かった俺の4年間に決着をつけてくるさ」
テーブルの上を片付け、俺たちは出かける支度をする。リニスとその昼寝場所にされているブーフの2人に挨拶をし、洗濯物をたたんでいた母さんに声をかけ、コーラルとウィンにせっつかされながら、俺たちは家を出発した。
慌ただしく、騒がしいそんな俺の世界。これが、俺たちにとっていつも通りの日常であった。
******
現在の時刻は17時。夏空が赤色から紺色へと変わりだした時間帯。待ち合わせ場所にたどり着いた俺たちは、真っ直ぐに因縁の相手が待つ場所へ向かっていた。そこには決着をつけるべき相手がいる。人ごみの先で、俺の存在を感じ取った相手も、俺と同じようにすでに臨戦態勢を取っていた。
それに俺は口元に弧を描く。俺と相手との間に言葉はいらない。あるのはわずかな緊張と、勝利への渇望だけだ。俺を見守ってくれる家族と友人に背を向け、やつのフィールドへと俺は足を踏み入れた。
そして、俺が武器を右手に受け取ったその瞬間、俺とやつとの火蓋は切って落とされたのであった。
「……ッ!」
開始早々、一切の容赦がない相手からの一撃。受けきれないと判断した俺は、すぐさま相手の軌道を並列思考で計算し、回避に専念する。隙を窺う俺に気づいたのか、やつは苛烈な攻撃の姿勢を解き、瞬時に体勢を整えた。力任せに来ない相手に俺は目を細める。お互いに様子見ということか。
時間が過ぎ、互いに決定打を打ち込めない現状が続く。以前よりもさらに速さに磨きがかかった相手。俺自身も特訓してきたとはいえ、やはり強い。4年間やつに味合わされてきた敗北という名の2文字。それは完膚なきまでに、俺に屈辱と畏怖を植え付けさせた。
それでも、立ち向かうのだ。抱いた屈辱を糧に努力した。抱いた畏怖を糧に成長した。今の俺にあるのは、ただあいつに勝ちたい、というたった1つの思いだ。
「だけど、焦んなよ…」
俺とやつとの攻防は果たしてどれぐ
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