第四十七話 思春期@
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はなく、ウィンクルムという1人の少女の力だった。
「まぁ時間も時間だし、宿題はまた明日にするよ。ウィンもおめかし万全みたいだしな」
「えっへん!」
俺が妹の様子を見て言うと、アリシアと同じようにウィンは嬉しそうに胸を張った。そこには白地に桃色のうさぎの絵柄が綺麗に映えた、かわいらしい浴衣を着た妹。彼女の大きな耳には、ふわふわとしたシュシュがつけられており、くるくると回るウィンと一緒に揺れていた。
うん、大変似合っているのはいいんだが、その状態でうさぎダイブを決行したのかこの子は。もうちょっと羞恥心とか色々さぁ…。まだまだ子どもだけど、こういうことはちゃんと教えていってやらないとな。
「あのな、ウィン。浴衣は崩れたらまずいから、激しい動きとかは…」
「にぃにー、動いたら暑くなっちゃったからちょっと脱いでいいー?」
「いや、よくないよ!?」
「うー。でも、うさぎは体温ちょーせつがひじょーに繊細な生き物でして」
「その調節を服でしないで!? 着物はすぐに涼しくなるから我慢しなさい」
少しご不満そうだが、なんとか妹のストリップショーを回避した。ウィンの脱ぎ癖は今に始まったことではなく、3年前に兄妹になったころに比べればだいぶ収まっている。使い魔になっても、うさぎとしての慣習が残っているのだ。
うさぎは体温調節が大切な生き物である。その快適温度は18〜24度といわれ、暑いと熱中症をおこし、寒すぎると体調を崩す。だけど使い魔になったウィンは、ただのうさぎと違い汗を流せるし、温かい格好もできる。それでも油断すると、夏は開放的に、冬は蓑虫のように閉鎖的な姿を取ろうとするのだ。そんな妹である。
「……たくっ、ほら。『アイスフィールド』」
それでも妹のために暑さを改善してあげようと考えてしまう俺は、相変わらずのシスコンなのだろう。俺はリンカーコアから魔力を抽出し、変換魔法の術式を組む。俺には電気の魔力変換資質があるため、さらに変換するとなると威力なんてあってないようなもんになる。それでもちょっと涼しいと感じるぐらいの冷気だったら出せるのだ。
俺は一点に魔力を凝縮したり、細かいコントロールが苦手な傾向にある。これは典型的な魔力が多い魔導師の特徴だ。だけど、逆に解放傾向にある魔法なら得意であった。その中でフィールド魔法は、俺の得意分野である。変換魔法と組み合わせれば、周辺に影響を及ぼすこともできる。
つまりだ、寒かったら火の魔力変換と組み合わせて温かい空間に。暑かったら氷の魔力変換で涼しくできる。これがものすごく日常で役に立つのだ。まさに大変便利な、歩くエアコンの完成である。最初はウィンのために思いついたことだったが、発想というものはどこで転がっているかわからないものだ。
『……ものす
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