第四十七話 思春期@
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れって一体―――」
「……どういうこと、だったっけ」
随分と懐かしい夢を見ていた気がする。そういえば、この世界に来る前にあいつとそんな話をしていたことを思い出す。……もう11年も前の出来事だ。改めて思い出した俺自身も、こんな話をしていたんだ、とちょっと驚いてしまった。
きっと小難しいことばっかりだったから、記憶の彼方に置きっぱなしにしていたのだろう。寝起きで呆然としてしまっている頭を振ってみたが、もうこれ以上思い出すことはできないようだ。俺は欠伸を1つすると、壁に立て掛けられている時計を見る。もうすぐ16時を指す秒針に、2時間ぐらい眠っていたことを知った。
今俺がいるのは、テスタロッサ家のリビングのテーブル。そこで、俺は宿題の途中で眠ってしまっていたようだ。変な体制だったためか、身体の節々が痛い。しかも枕代わりにしてしまっていた参考書に涎がついている。俺は慌ててそれを拭き取った。
「しかし、並行世界に次元空間…。どこかで聞いたことがあるなぁー、って思っていたらこの時だったのか」
俺は涎を拭き取った参考書に目を落とす。そこには『多次元世界への航行』と書かれた、小難しい本の題名が俺の目に映った。11歳の誕生日が過ぎて早数週間。夏休みの真っ只中、俺は学校で出されていた宿題に取り組んでいた。あの夢を見たのは、この内容がきっかけだったのだろう。
俺が住むこの世界は、様々な多次元の世界を認識し、そして渡ることができる技術を持っている。そんな技術を持った世界に住んでいるのだから、学校でそのことについて学ぶのはおかしなことではない。死神の会話だけでは意味不明だった言葉も、今なら少しだけ理解できていた。
まぁ、わかったといっても本当に簡単にである。専門家ではない俺には、この次元の海の謎はほとんど謎のまま。それでもこうやって勉強をしているのは、将来はその謎がいっぱいの次元の海に出て、冒険をしたいと思っているからだ。初等部の最高学年であり、あと半年で卒業という時期。それは、そろそろ先を考えないといけない時期ということだ。知識は入れられるだけ入れておいて、悪いことはないだろう。
「……しかし、まじで並行世界が次元世界で立証されているんだな。確かに食い物とか歴史は似通っていたし」
「次元空間それぞれに様々な世界がそんざいしていて、ないほーされた世界の力が狭間同士で結び合っているからだね」
「―――うおッ!?」
集中していた俺の後ろから声が聞こえたと思った瞬間、ドンッ、と背中に重みを感じた。その重みに俺はテーブルに倒れかけたが、なんとか踏ん張って耐える。俺が踏ん張れたのは、いきなり人の背中にダイブしてきた人物がちみっ子だったおかげだ。3年前に出会った時より大きくなったとはいえ、俺だって成長
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