第一章
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「長嶋が勝つか」
「長嶋は何をするか」
「長嶋は誰を使うか」
「長嶋が何勝するか」
こんな話題ばかりであった。今も全く変わることのない無気味で嫌らしい偏向報道である。何処ぞの一度も兵隊を率いたことのない到底軍人とは思えぬ肥満しきった肉体の愚かな将軍様の治める国と全く同じである。結局我が国の特定の世代、特定の人々、マスコミの一部はこうした醜悪な独裁国家の崇拝者と変わるところがないのである。残念なことだがこれが現実だ。こうした連中により球界はおぞましく歪められてしまっている。
これに対して対する阪急の選手及びファン達は面白い筈がなかった。彼等は激しい敵意を燃やした。
「長嶋の、長嶋による、長嶋の為のシリーズかい、笑わせんなや」
ファンの誰かが言った。
「そうや、野球やっとるのは長嶋だけちゃうぞ」
彼等にとってはたまったものではない。今もテレビでは特定の球団に極端に偏向した報道が行われる。関東では特にそうだ。あのようなものを普通に見られるのはカルト教団の信者位だろう。無念なことにこれが今の我が国の野球の現状だ。日本では野球を冒涜する愚か者は大手を振って歩けても野球を本当の意味で愛する者は少ない。
長嶋茂雄の采配はお粗末の一言に尽きる。およそ監督としての資質はない。そのようなものは最初からないのだ。だが報道によりスターになる。かってはあの金日成もそうであった。北朝鮮は地上の楽園であった。実際は全くの逆であったが。しかし報道によってそれがなるのだ。これがマスメディアの持つ怖ろしさだ。
「ふざけんな、あんなチームに負けてたまるか!」
阪急ナインも激昂していた。こうした報道に特に怒ったのが福本であった。彼は言った。
「おい、絶対に勝つで!」
彼はナインに対して言った。
「あの連中ぶっつぶして西本さん喜ばしたるんや!」
彼もまた西本に一から育て上げられた男である。その恩は海よりも深く山よりも高かった。
「そうやな、西本さんの恩返しや」
他の阪急ナインもその言葉に奮い立った。彼等もまた西本に育てられた選手達であった。
「巨人潰しじゃ!そして今度こそわし等が勝つんや!」
彼等の思いは一つになった。そして決戦の日に向かった。
この時巨人ナインもファンもまさか自分達が阪急に負けるとは思わなかった。
「巨人が負ける筈ないだろう!」
これは近頃テレビでスキンヘッドでガチャメの汚らしい愚か者が吐いた戯れ言である。この男は常に常識も理屈も道徳も全く無視したことしか口に出さないので視聴者からは激しく嫌悪されている。所謂狂人の類であるが何故かテレビに出て視聴者にその醜態を見せつけ続けている。こうした怪奇現象が今だに起こっているのも我が国だけのことである。これでは幽霊が昼に歩いても不思議ではない。全くどういうことか。
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