第67話 A.背負う
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インベスによって吹き飛ばされ転がる月花。
『だっ、うびゃ!?』
月花はイチョウの葉の上をざざざあっと滑って、体の上下がひっくり返り、木にぶつかって止まった。
腹がずくずくと痛んだが、バトルスーツのおかげで咲本体は無事だ。
(お父さんかな。お母さんかな。おじいちゃんかな。おばあちゃんかな。女の子かな、男の子かな。歳は、トモダチは、ガッコーは)
――このインベスはヘルヘイムの森に棲んでいたモノか、人間が果実を食べたモノか――
人間がインベスになりうることはヘキサにも、チームの誰にも伝えていない。仲間に隠し事はしない、がモットーの咲の、たった一つのカクシゴト。
インベスが月花へ迫ってくる。月花は地面に両手を突いて前転で起き上がり、さらに回転してインベスを蹴って退けた。
『ヘキサ、錠前! どれでもいいから!』
「う、うん!」
ヘキサが投げたパインの錠前をキャッチ――する寸前、錠前と月花の間にインベスが割って入り、そのままパインロックシードをぱくりと飲み込んでしまった。
『んな…っ!』
「そんなっ」
『こなくそぉ!』
インベスがビャッコインベスへと変容した。後ろで悲鳴が上がる。
月花はイチョウの葉の上を滑るように仲間の下へ戻った。
「ごめん咲! これ!」
『オッケー!』
ビャッコインベスが向かってくる。月花はDFボムを投げてその突進を阻み、その隙にドラゴンフルーツの錠前を外し、改めて受け取った錠前をバックルに嵌めた。
《パッションフルーツアームズ! Time on the Bladedance!》
炎の果実の鎧が消え、黄熟した果実のアームズが月花を鎧う。
時計草のモチーフをあしらったライドウェア。両手には時計塔の長針と短針をそのまま持ってきたかのような双刃。
(前はマスクって顔見えなくてジャマって思ったけど、今は、あってよかったな。どんな顔しちゃうか分かったもんじゃないもん)
ビャッコインベスへと走る。走った勢いのまま、月花は双刃でビャッコインベスを斬りつけた。
要領はバトンを操る時と変わらない。踊るように回って連撃する。
一度ビャッコインベスから離れた月花は、双刃を繋げてダブルセイバーにし、カッティングブレードを二度叩き下ろす。
《パッションフルーツスカッシュ! パッションバースト!》
月花は高くジャンプし、インベスの真上に達したところで、ダブルセイバーを振り被った。
(初瀬くんの時は止めてあげることさえできなかった。これからはそんなことしない。どんなに悲しくなっても、最後まで)
『せやああああああッッ!!』
振り下ろしたダブルセイバーの軌道を黄色いソニックウェーブが描く。ソニ
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