―悪魔の囁き―
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の姿をした悪魔に詰め寄ろうとしたものの、マルタンが遊矢を踏みつける力を増していくのを見て、その動きを止める。
「それにしても危なかったじゃないか、十代……ボクが助けないと、キミが負けちゃうところだったよ?」
遊矢の壊れたデュエルディスクから《ティンクル・ウォール》のカードを拾い上げ、ニヤニヤと笑いながら十代に見せつける。……そして踏みつけられた遊矢が、マルタンの姿をした悪魔の言葉に反応する。
「……助けた、だと……」
「ああそうさ。十代、ボクに感謝してよ?」
意識がはっきりとしている平常時ならば、そんなマルタンの姿をした悪魔のセリフなど、遊矢には一笑に付すことが出来ただろう。だが意識がはっきりとしない今……遊矢は倒れながらも十代を見た。
「違う! お前誰なんだよ、何でこんなことをするんだ!」
「……本当にボクのことを忘れちゃってるんだね……ボクがやっていることはね、十代。全てキミのためにやっていることなんだよ」
今の十代には、マルタンの姿をした悪魔が何が言いたいのか、何も理解することは出来はしない。しかしその言葉は、遊矢の猜疑心を高めさせるのは充分すぎるほどだった。
「……ふざけんなよ! 遊矢を、みんなをこんなにした何が俺の為だ!」
「また後で話してあげるよ、十代。……それよりまず、敗者に罰ゲームをする方が先かな」
マルタンの悪魔の右腕がデュエルディスクに変化していき、一枚の魔法カードをポケットから取り出して発動した。その魔法カードとは《暗黒界に続く結界通路》。
遊矢の背後に他の異世界へと繋がっている穴が出現し、遊矢を吸い込まんとその穴から悪魔が遊矢の足に手を伸ばす。マルタンの姿をした悪魔が足で踏んでいるおかげで、何とか遊矢はこの世界にいることが出来た。
「もう一人の……明日香、だっけ? もう既にどっかに送ってあるからさ。再会出来ると良いね」
マルタンの姿をした悪魔が足を放すと、遊矢は何も抵抗することは出来ず、暗黒界に続く結界通路に引きずり込まれていく。
――最期にこぼれ落ちた【機械戦士】たちと十代を見て、明日香のことを思いながら。そして結界通路の中で、十代の叫び声だけが耳に聞こえていた。
「遊矢ぁぁぁぁぁっ!」
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