暁 〜小説投稿サイト〜
錬金の勇者
6『ビーター』
[8/8]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
……いい名前だなそれ」
「詐欺師、か。センスがいいなあんた。本物の錬金術師は、《詐欺師》以外の何者でもないよ」

 キリトは獲得したばかりと思われる、真黒いコートを装備した。ヘルメスは《等価交換(Equivalent exchange)》と唱えると、かつてボスの刀だった金属を、一本の片手剣へと錬成しなおした。

「そうだ。俺はビーター。これからはほかのβテスターごときと一緒にしないでくれ」
「俺は詐欺師。騙されたくない奴は、俺にかかわらないことをお勧めするよ」

 キリトとヘルメスは、連れだって第二層へと続く階段へ進んだ。

「……ヘルメス、すまない」
「良いんだ。いつかばれることだ。むしろせいぜいした」

 第二層は、現実世界のアメリカ西部めいた荒野だった。テーブル山群(マウンテン)が目につく。

「まって」

 進み出ようとしたキリトを、後ろから追いかけてきたアスナが呼び止めた。どうやら何か話したいことがあるらしい。

「……ここでお別れだ。俺は一足先に主街区に行ってるから、キリトは彼女の話を聞いてやってくれ」
「……わかった。場所、分かるか?」
「ああ。茅場は第二層主街区に辿り着いて、第一層攻略、と考えていたらしいからな。一応教えてもらえた」

 ヘルメスは、キリトにまた会おうぜ、と言い残して、第二層主街区へと足を進めていった。


 《詐欺師》の名を背負った《錬金術師》の物語は、まだ始まったばかりだった。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ