6『ビーター』
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……いい名前だなそれ」
「詐欺師、か。センスがいいなあんた。本物の錬金術師は、《詐欺師》以外の何者でもないよ」
キリトは獲得したばかりと思われる、真黒いコートを装備した。ヘルメスは《等価交換》と唱えると、かつてボスの刀だった金属を、一本の片手剣へと錬成しなおした。
「そうだ。俺はビーター。これからはほかのβテスターごときと一緒にしないでくれ」
「俺は詐欺師。騙されたくない奴は、俺にかかわらないことをお勧めするよ」
キリトとヘルメスは、連れだって第二層へと続く階段へ進んだ。
「……ヘルメス、すまない」
「良いんだ。いつかばれることだ。むしろせいぜいした」
第二層は、現実世界のアメリカ西部めいた荒野だった。テーブル山群が目につく。
「まって」
進み出ようとしたキリトを、後ろから追いかけてきたアスナが呼び止めた。どうやら何か話したいことがあるらしい。
「……ここでお別れだ。俺は一足先に主街区に行ってるから、キリトは彼女の話を聞いてやってくれ」
「……わかった。場所、分かるか?」
「ああ。茅場は第二層主街区に辿り着いて、第一層攻略、と考えていたらしいからな。一応教えてもらえた」
ヘルメスは、キリトにまた会おうぜ、と言い残して、第二層主街区へと足を進めていった。
《詐欺師》の名を背負った《錬金術師》の物語は、まだ始まったばかりだった。
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