6『ビーター』
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
っている。ディアベルの判断が、根本から間違っていたことを。《ウキフネ》のダメージが小さいのは当たり前なのだ。なぜならあれは、続く大技までの時間稼ぎでしかないのだから。
高速の三連撃が、ディアベルを襲った。刀専用ソードスキル《檜扇》。
「ディアベルはん!」
キバオウが叫ぶ。ディアベルを切り裂いたイルファングが着地し、咆哮。ターゲットがディアベル以外のプレイヤーに向かったのだ。同時に、どさり、とディアベルが地面に落下する。
「ディアベル!」
俺はディアベルの元に駆け寄った。至近距離で初めて《騎士》を見た時、俺は先ほどと同じ違和感が駆け抜けるのを感じた。
――――俺は、このプレイヤーを知っている。
βテスト時代に、恐らく当時は名前が異なっていたのであろう彼と遭遇し、言葉を交わし、もしかしたら剣も交わしている。パーティーを組んだこともあるかもしれない。
「キリトさん……」
「待ってろ、今回復を……」
「もういい……。俺は、多分助からない」
ディアベルのHPバーは、彼の言葉どおり、もう真っ赤に変わっていた。減少スピードはかなり速く、ポーションを飲ませても回復が始まる前にHPがゼロになる。SAOのポーションは即時回復ではなく時間回復なのだ。即時回復結晶は、まだ上の層に行かなければ現れない……。
「頼む、キリトさん。ボスを、倒」
ぱりぃん。
そこまで言って、ボス攻略最初のレイドリーダーである、《騎士》ディアベルは、永遠に仮想世界からも、現実世界からも退場した。
うわぁぁぁぁ、というような悲鳴が、ボス部屋に響いた。
*+*+*+*+*+
ディアベルが死んだ。それは、攻略プレイヤーに大きな混乱を招いた。ボスの攻撃にさらされ、HPがどんどん減っていく。
そんな中にあって、キリトの《刀》スキルに対する知識は頼もしかった。キリト、アスナ、そしてヘルメスは、着実にボスのHPを減らしていった。途中でボスの攻撃に不意を突かれ、キリトがHPを大きく減らすアクシデントがあったが、エギルがその間ボスの攻撃を防いでくれた。
そして……ついに、ボスのHPが、レッドゾーンへと突入した。
「アスナ!ヘルメス!最後の攻撃、一緒に頼む!」
「了解!」
「まかせろ!」
キリトがソードスキルを発動させ、ボスに肉薄する。アスナもそれに続いた。アスナのフードがはだけ、輝かんばかりの美貌があらわになる。ソードスキルが使えないヘルメスはその後を追う形で、全速力で走る。
「うぉぉぉ!!」
「やぁぁぁ!!」
キリトとアスナのソードスキルが、イルファングのHPを大きく削り……そして、二パーセントほどを残して止まった。
「し
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ