6『ビーター』
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
出会ったのは、ソードアート・オンラインが悪夢のデスゲームへと変貌したその日の真夜中のことだった。俺は今右手に握られている《アニールブレード》を手に入れるために《ホルンカの村》へと赴き、そこで出会ったコペルというプレイヤーにMPK……モンスター・プレイヤー・キルを仕掛けられた。結局コペルは脱出に失敗し、俺だけが助かった。
《ホルンカの村》へ帰還し、《アニールブレード》を入手して、村を後にしようとした俺が出会ったのが、あの銀色の髪の少年、ヘルメスだった。彼がクエストをクリアするまで共に戦い(なぜか俺は「もう一度MPKをしかけられる可能性」を考えなかった)、そこで想定外のボス級モンスターとも戦った。
ヘルメスは戦いの後、彼以外が知らない秘密を一つ教えてくれた。それは、ヘルメスがこの世界で恐らく唯一の《錬金術師》であること。
目の前で《錬金術》とでも言うべき光景を見せられた跡では、それが嘘だとは言えない。ネットゲーマーは自分にはない力に対して異様な嫉妬や恨みを感じる人種だが、俺は不思議とそれを感じなかった。
《錬金術》は、ヘルメスの為だけにこの世界に存在する。そんな印象を受けたからだった。
今ヘルメスが《ルイン・コボルド・センチネル》を一人で相手にしてまだ余裕があるのは、彼の持つ《錬成武器》の性能によるところもあるだろう。もっとも、彼自身の武術の腕前が相当なものであるという事もあるのだろうが……。ちなみに、センチネルどもの戦闘力は現在のトッププレイヤー2人分ほどの水準となっている。つまり、弱い相手ではないのだ。それをヘルメスは巧みにさばいていく。
コボルドのメイスが振り下ろされる。剣をかませて、そのまま流れるように回避。剣を引き戻して、後ろから切りつける。攻撃をそらすのも、回避するのも、自分が打ち込むのもうまい。現実でも何か武術をしていたのだろうか……。
「スイッチ!」
響いた軽やかな声で、俺は戦闘に引き戻された、フードで顔を隠した細剣使い、アスナとは、昨日迷宮区で出会った。彼女は今にも死にそうなすれすれの戦いをしていたが、今は初心者らしかぬ完璧な戦い方を見せていた。
アスナも、ヘルメスも、まだまだ強くなる。いずれは、この世界の頂点に至る存在になれる――――。
そう考えながら、俺はソードスキルを起動させた。《ソニックリープ》の剣閃が、放射線を上げいてセンチネルを切り裂き、爆散させる。
「キリト!こっちも終わったぞ!」
「了解!」
ヘルメスの声に答える。同時に、フィールドの向こう側で歓声が上がった。そちらに目を向けると、ボスのHPバー最後の一段がとうとう半減していた。
「下がれ!俺が出る!」
そこで、レイドリーダーたる《騎士》ディア
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ