暁 〜小説投稿サイト〜
錬金の勇者
6『ビーター』
[2/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ボス攻略に集中するべきだ。


 2022年12月4日、午前11時迷宮区到着。正午、最上階到着。ディアベルが組織したレイドは非常にバランスがとれており、道中で遭遇したモンスターとの戦闘では一切の傷を負わずに、無事ボス部屋の前まで来ることができた。

「みんな、突然だけど――――ありがとう!今日ここに、全パーティー45人が集まった!」

 ディアベルが、モンスターを呼び寄せない限界の音量で言う。

「今だから言うけど、俺、実は一人でも欠けたら今日の攻略を中止にしようと思ってた。けど、そんな心配、みんなへの侮辱だったな。俺、スゲー嬉しいよ……こんな最高のレイドが組めて!……まぁ、上限にはちょっと足りないけどさ!」

 ディアベルの言葉に、攻略に集まったプレイヤー達が手をたたく。中には、昨日のサボテン頭――キバオウの姿もあった。ディアベルは剣を抜き放つと、叫んだ。

「みんな!俺から言えることはあと一つだけだ!―――――勝とうぜ!!」

 ディアベルがボス部屋のドアを開き、その中に駆け込むと同時に、プレイヤー達も一様にときの声を上げて突入する。


 広い。ヘルメスは、まずそう感じた。左右の幅は二十メートルほど、奥行きは百メートルほどだ。迷宮区の今までのどの部屋よりも広い。

 暗闇に沈んだ部屋の横に、ぼっ、ぼっ、と不吉な音と共に明かりがともっていく。そしてその奥は次の層へと続く階段、それを塞ぐ二枚扉が設置されている。

 そして、その扉の前に設けられた玉座に、堂々と座る一体の巨大な犬面人(コボルド)……。

「ヴロォォォオオオ!!」

 コボルドは叫ぶと、ズシン!と大地を大きく揺らして着陸した。再びの咆哮。ボスの頭上に、真っ赤なカラーカーソル。その色は、少し黒みがかっていた。武器は大型の盾と戦斧。腰に差し渡し一メートル半はあろうかというほどの大きさの湾刀(タルワール)。カーソルの下に表示された名前は、《イルファング・ザ・コボルドロード》。情報にあったのと同じ、第一層ボス。

 そして、その周りに出現した、鎧を身に付けた複数体の中型コボルド。《ルイン・コボルド・センチネル》という名前の、ボスの取り巻きだ。武器は粗雑な小型棍棒(メイス)。キリト・ヘルメス・アスナパーティーが相手をするのも、このモンスター達だ。

「……行くぞ!」

 ディアベルの叫びに合わせて、うおおぉ、という再びのときの声。

「行こう」
「ええ!」
「了解っ」

 キリトの言葉に、アスナ、ヘルメスも頷く。キバオウ率いるE隊のプレイヤー達に続いて、《ルイン・コボルド・センチネル》に向かっていく。

 
 ボス攻略戦が、始まった。


 *+*+*+*+*+


 ヘルメス、と名乗る少年と、俺ことキリトが
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ