第八話
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ミッターマイヤー艦隊と後続の帝国艦隊との通信はルジアーナに攻撃を開始するで途絶えていた。後続の帝国艦隊とは、つまりグリルパルツァー・クナップシュタイン両艦隊である。各7,500隻づつ2路に別れ進軍している。彼らに与えられた情報は「ルジアーナとその僅かな駐留艦隊と交戦中」である。それ以降の通信は途絶えている。
第二次ラグナロック作戦は帝国軍の勝利に終わる。帝国軍に所属するほぼすべての人間がそう考えていた。それは当たり前の判断だろう。
「自分達は敵の4倍以上の艦隊を保有し、フェザーン・イゼルローン両回廊を抑え、同盟領内の惑星ウルヴァシーに大規模な補給基地を持つ。それに比べて同盟軍はどうだ。戦艦と空母が欠けた艦隊に敗残兵と新兵の寄せ集めを押し込んでようやく軍を整えている始末ではないか。どこに我々が負ける要素があると言うのだ」
そう豪語しているものもいた。ともかく帝国の兵士達は自分達が微塵も負けるなどと思っていない。
帝国軍が勝つという認識は将官以上の階級を持つ者も同意見だった。グリルパルツァー大将・クナップシュタイン大将もその内である。
ミッターマイヤー艦隊と通信が途絶したグリルパルツァー・クナップシュタイン両艦隊は通信を行っていた。
「ミッターマイヤー元帥との通信が切れたとはおそらく同盟軍の別働隊が何かしらの妨害を働いたからだ。クナップシュタインはどう思う?」
先に通信を送ったのはグリルパルツァーの方だった。
「卿と同意見だ。予想以上に早く同盟軍は準備を整えていたらしい」
この二人は帝国の時期双璧と歌われており、経験こそ少ないが20代そこらで大将の位を得ていることからも優秀であることが伺える。
「早急に本体がいるウルヴァシーへ通信を行ったほうがいいな」
クナップシュタインがそう提案するとグリルパルツァーはそれを否定した。
「いや待て。まだ通信を送るな。実はな、一つ卿に提案があって通信を送ったのだ」
クナップシュタインは訝しみながら先を促した。
「この戦役はわれわれの勝利で終わるだろう。そうしたら私達はどこで功績を立てるのだ?」
クナップシュタインはグリルパルツァーの言わんとすることを理解した。
「しかしだな。我々が合流したところで勝てるのか?」
「同盟の艦隊はせいぜい2万5千隻がいいところだと卿も聞いたのだろう?先に交戦しているミッターマイヤー元帥の艦隊は2万隻、なかなか決着はつくまい。そこでわれわれの艦隊が合流すれば数の上で我々が有利になるはずだ」
つまるところグリルパルツァーは数少ない功績を立てる機会をわざわざ他の提督に与えず自分とグリルパルツァーで山分けしようと言っているのだ。
結局クナップシュタインはグリルパルツァーの提案を受けた。彼らは2路に別れルジアーナの同盟軍を挟み撃ちにする作戦を立
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