第八話
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て通信を切った。
クナップシュタインの説得を終えたグリルパルツァーは満足げに通信を切った。
「艦隊速度最大までを上げろ」
「よろしいのですか?それでは先ほどの作戦より早くついてしまいますが…」
クナップシュタインとグリルパルツァーの作戦を聞いていた参謀がそう質問した。
「かまわん、命令どおり艦隊速度をあげろ」
グリルパルツァーとしてはミッターマイヤー艦隊への増援は自分だけでいいと思っていたのだ。それでも一応同僚への気遣いをしたつもりなのだ。それに自分より大きな功績を立てられたらそれはそれで嫌なものだ。
この通信の後、急行したグリルパルツァー艦隊も6時間遅れで現れた艦隊も、既にミッターマイヤー艦隊を撃破した同盟軍により各個撃破され潰走することになる。
グリルパルツァー・クナップシュタイン両艦隊を撃破した同盟軍は反転し今度は孤立したビッテンフェルト艦隊を撃破する。これは戦術的に特筆するものはない。あえて言うなら、補給も通信もままならないままで二倍以上の戦力に奇襲されては誰でも勝てるものではないということだ。
自由惑星同盟政府は軍を編成し継続的な補給物資を整えた。そして彼らの仕事はそれで終わりではない。帝国で戦争を終わらせるのは皇帝でも同盟で戦争を終わらせられるのは軍ではなく政府なのだ。
「聞いての通りだがヤン提督は今のところ帝国軍に勝利している。さしたる被害なしでだ」
同盟政府にはヤン艦隊がミッターマイヤー・リルパルツァー・クナップシュタインさらにビッテンフェルト艦隊を撃破したことを確認している。
「未だに帝国軍の規模は大きい。そしてそれに対するわが国の戦力は少ない。しかしそれを生かすためにわれわれにもっと出来ることがある」
今同盟最高評議会で議題になっているのはある法律の制定についてだった。内容は大まかに言えば「敵対する勢力下にある政府はその効力を失う」と言う内容だ。何を意識しているのかは言うまでもない。第一次ラグナロック作戦はヤンがまさにラインハルトを倒しかけたところで政府が降伏したため、同盟の負けで終了した。そういうことが二度と起こらないように作られた法律だ。
その法律には当然利点と欠点がある。利点としては同盟軍が政府を守ることを放棄することができ戦略上の選択肢が広がることである。
欠点としては制度として悪用される可能性が高いこと。それと最悪の場合帝国軍がすべての有人惑星に攻撃を仕掛ける可能性があるということだ。
結局この法律は細部を変更し3年限定で施行されることとなる。ただし同盟政府は同時にもう一つ宣言をした。「同盟政府は帝国に軍事的に対抗する手段を失った場合降伏を行う」と。
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