第5章 契約
第82話 人ならざる者たち
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なのですが。
少なくとも、今日と、明日に関しては。
「何、王都からの命令で儂には少し早い冬休みが与えられたから、こうして昔馴染みの元を訪れたついでに、おぬし等の門出を祝福しにやって来ただけじゃ」
しかし、オスマン学院長は普段通りの飄々とした物言いでそう答える。
その雰囲気も普段通りのややいい加減な雰囲気のまま。ただ、王都からの命令で早い冬休みと言っても……。
【オスマン学院長は、生徒を兵士として徴用する事に異を唱え、更に、銃後の備えとして女生徒たちに軍事調練を施す事にも強く反対した為に、十一月の末を持って魔法学院の学院長の任を解かれているのです】
かなり疑問符に彩られていた俺の心の中に響くジョルジュの【声】。
成るほど。俺やタバサが学院から離れた九月の段階で、十分戦時色が出て居たのですが、事態は其処まで進んで居ましたか。
これは、トリステイン王家としては、本格的な戦争が始まる前から、今回の戦争に関して楽観的な展望で有った訳ではない、と言う事なのでしょうね。
ただ……。
戦争開始前から下士官が不足する事が判って居て、学生。多くは十五歳から十七歳の少年に過ぎない連中を俄か仕立ての下士官として徴用し、更にそれだけでは足りずに、同じ年頃の少女たちも動員しなければならない戦争って……。
第二次大戦中の日本でも、長男や理系の男子学生の徴用が始まったのは戦局がヤバく成って来てからだったと思いますから……。
大丈夫なのでしょうか、トリステインは。
もっとも、俺がどうこう出来る状態でもなく、まして、トリステインとアルビオン。双方の大義がぶつかる戦争ですから、俺のような部外者がどう思おうとも事態は進むしかないのでしょうから……。
この戦争に関わる事となったサイトやルイズたちが無事に戻って来てくれる事を祈るしか、今のトコロ方法は有りませんか……。
それならば、
「それで、オスマン老。貴方の御隣に居るご婦人に付いては……」
そうオスマンに問い掛ける俺。
その老婦人。身長は俺より少し低いぐらいですから、百七十センチ近くは有りますか。西洋人の貴婦人の基本、豊満な、と表現すべき体型ではなく痩せ型。目鼻立ちははっきりとしていて、見事な金髪を腰の辺りまで伸ばした、若い頃はさぞ美しかったであろうと言う女性。
矍鑠……と言うよりは、しゃんと背筋を伸ばし、しっかりとした大股の歩みで近付いて来る様は、まるで軍人のような印象。
服装に関しては、黒のインバネスコート。繻子のベスト。白のシャツに黒のスラックス。シルクハットとステッキを持てば、間違いなく英国紳士と言う服装。
但し、清教徒革命当時の英国紳士などではなく、ビクトリア女王が治めた当
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