第5章 契約
第82話 人ならざる者たち
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ツバルトと呼ばれる森林地帯に囲まれた国の内情に意識を飛ばして居た事に気付いたのか、現実世界……。しかし、夢幻に等しい貴族たちが優雅に舞うヴェルサルティル宮殿の鏡の間に呼び戻すジョルジュ。
大きな陰の気が含まれて居るその言葉で。
そして、
「トリステインに対する諜報は成功しているのですが、神聖アルビオン中枢に関しての諜報活動は一切、成功してはいません」
非常に不吉な台詞を続ける。
……諜報活動が成功していない?
それも、このガリアの諜報部が行って居る諜報活動が?
「政権の中枢部に存在する貴族に対する調略やその他が成功しないだけやなしに、魔法に因る諜報活動も成功しない、そう言う風に取って構わないと言う事か?」
周囲の雑音から完全に切り離されたこの空間内で、更に声音を落としてそう問い返す俺。
確かに、今のアルビオンは宗教。ロマリアを中心とした古いタイプのブリミル教と言う宗教を中心に固まった国家であるが故に、人間レベルの調略や諜報が成功し難いのは首肯けます。
更に、三千メートル以上の上空に存在する浮島である以上、国への出入りも難しいでしょうし、戦時であるので、港での人の出入りのチェックも厳しい可能性が高いのですが……。
それにしても……。
俺の問いに、無言で首肯くジョルジュ。彼に相応しくない、かなり難しい雰囲気の表情で。
「この世界の表の魔法には、魔法に因る情報漏洩を防ぐ結界系の魔法はない。しかし、裏の世界には結界系の魔法は存在する。
もしかすると、アルビオンにはそんな裏の魔法世界に籍を置く存在……俺の知って居る類の魔法使いが力を貸しているのかも知れないな」
例えば、アーサー王に力を貸した魔術師マーリンやモーガン・ル・フェイのような存在が。
但し、もし、そうだとすると、アルビオンとトリステインの戦争は、益々先の予想が難しく成るのですが……。
伝説の系統虚無の継承者ルイズとその使い魔を擁するトリステイン。
そして、何モノかは判らないけど、少なくともこのハルケギニア世界では一般的ではない特殊な魔法が使用可能なアルビオン。
この戦争、すべての面に於いて、トリステインの方に不利な情報しか今のトコロはない、とは思うのですが……。
伝説の系統と言われる虚無とその使い魔が、そのすべてをねじ伏せられる程の能力を持って居ない限りは。
すべての会話が終り、周囲の音と言う音から隔絶された空間に耳が痛くなるような静寂が訪れる。
俺の耳に届くのは、左右に存在する少女たちの発するページを捲る際に奏でられる、俺に取っては耳に心地良い微かな音色のみ。
周囲に流れているはずの優美な調べも、笑いさざめくような話声も、華麗なステップが産み出す靴の音、僅かな衣擦
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