第5章 契約
第82話 人ならざる者たち
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夏の紛争でアルビオンの防空戦力は著しく劣化している、との判断から、この人事と成ったのでしょうが。
つまり、主は上陸してからの陸上戦だと考えて居たと言う事。橋頭堡を簡単に築いた事でその目的の大部分は果たしたハズです。
後は、その陸戦部分を何処まで続ける心算か、と言うぐらいですか。
「そもそも、スコットランドに上陸したと言う事は、最初に落とす拠点はエジンバラと言う事か」
それともグラスゴーか。
地球世界のイギリスの地図を思い浮かべながら、そう独り言を呟く俺。
どちらにしても、アルビオンは退却する第二の都市の方に上陸された事に因って、背水の陣を敷かされたようなモノ。
窮鼠猫を噛む、の格言も有ります。これから先もどちらの国に取っても厳しい戦いが続くのでしょう。
まして、ポーツマスの軍港には未だ侮る事の出来ないアルビオンの空軍が居るはずですから、伸び切った補給線を私掠海賊のような形の少数精鋭の艦隊でゲリラ的に襲われて、ズタズタにされる可能性も有ります。
その上、トリステイン陸軍は、これから経験した事のないような厳しい寒さと空気の薄い中での戦闘を余儀なくされるのでしょうから……。
「この年末までに、エジンバラかグラスゴー。もしくは、両方を押さえられるかどうかが、この戦争の次のポイントと成りそうやな」
もしかすると、この緒戦の華々しい勝ちっぷりは、腰の重い同盟国。ゲルマニアの早期の参戦を促す意味での派手な勝ち方かも知れませんね。
何故なら、ゲルマニアは義勇軍ならば送って居るようなのですが、それは個人的な物。未だ国としての態度は保留状態のようですから。
おそらく、あの国は旧教が完全に力を持って居る国。ゲルマニアの皇帝を選ぶには、マインツやケルン、トーリアの大司教の賛同が不可欠で有る為に、旧教を信奉するアルビオンのティファニア女王。白き国の聖女と呼ばれる彼女の治める国を侵略するトリステインに対して同盟国として兵を送る事が出来ない……とまでは言えないけど、それでもかなり難しいはずです。
もし、そんな事を簡単に為して仕舞うと、ゲルマニアの皇帝と雖も国内の統治が不安定と成る可能性が高いですから。
まして、あの国の皇帝アルブレヒトは元々、マインツの大司教。しかし、兄のヨアヒム一世が夭折(暗殺と言うウワサも高いけど、公式な発表は病死)し、更に、彼の子供が幼かった事からマインツ大司教の位に有ったアルブレヒトがブランデンブルグ辺境伯の位を継ぎ、其処から更に、ゲルマニア皇帝アルブレヒトへと登り詰めた人物。
いくら外交上のある程度の約束が有るとは言え、自らの信奉する宗教で、聖女とまで呼ばれている女王が治める国に兵を送ると成ると……。
「ただ……」
俺の思考が、ヴィンドボナの宮殿からシュバル
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