第5章 契約
第82話 人ならざる者たち
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言う属性と、西洋人と東洋人と言う人種の差から出て来るものだと思いたい。……のですが。
そして、
「部下を信用して仕事を任せるのも、王の仕事ですよ」
そう、気負う事もなく普段のコイツの調子で答えた。
しかし……。
……部下ね。
やや自嘲的にそう考えた俺。そもそも、俺はガリア王国王子ルイの影武者で有って、そのままガリア王に即位する心算もなければ、そんな役割を一生続けて行く心算や覚悟さえない人間なのですが。
少なくとも、俺の右隣で、俺とジョルジュの会話に耳を傾けながら、膝の上に広げた書物に瞳を上下させている少女を貴族の生活から解放出来るまでの間しか、こんな役を演じる心算がないのですけどね。
もっとも、そんな事はコイツも先刻承知の上での、この台詞だとは思いますが。
おっと、イカン。
少し別の世界にトリップ仕掛けた思考を中断。こんな事は、今のトコロ必要は有りませんか。
それならば次は……。
「トリステインとアルビオンの戦争ならば、既にトリステイン軍がロサイスの軍港を落として橋頭堡を築き、そこから王都ロンディニウムに向けて兵を進めているようです」
俺が次の問いを口にする前に、聞きたかった内容を口にするジョルジュ。
そう。以前……俺が未だ黒髪で、タバサが魔法学院で学んでいた頃から着々と進んで居たアルビオンとの戦争の準備が終に完了したトリステイン。そのアルビオン攻略用の艦隊『最高の祝福を受けた艦隊』がラ・ロシェールより出航したのが十一月の第二週、オセルの曜日……。
つまり、スヴェルの夜の日の事。
総数は五百隻とも、六百隻とも言われる大艦隊。兵員数は六万の軍隊を率いているのはトリステインの貴族……。アレクサンドル・セート・リュイール・エノー=フランドル伯爵。トリステインのフランドル地方を領有する伯爵様。
この地方も旧教の勢力の強い地域で、毛織物などを産業の中心として発展した、トリステインとしてはかなり裕福な地方の領主様らしいのですが。
おそらく、地球世界のフランドル地域とほぼ同じ地域の事なのでしょう。
そして、ロンディニウム。詳しい位置関係は知りませんが、おそらく、地球世界のロンドンと同じ位置に有ると仮定して、ロサイスの軍港とは、地球世界的に言うとスコットランドのフォース湾に有るロサイスの事だと思いますから……。
ロンドンまではかなり距離が有りますか。
ただ……。
「成るほど。確か、そのフランドル伯爵と言う人物は陸軍を指揮するのに長けた人物。つまり、トリステインとしては、不安だった海戦から橋頭堡を築く上陸作戦までは問題なくクリア出来たと言う事やな」
おそらく、トリステイン側の考え方は、内乱からトリステインとのこの
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