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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第82話 人ならざる者たち
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人払いの結界も施されているので、俺たちがこの場に集まって会話を交わして居る事を認知出来る、ガリア王子ルイの御披露目のパーティに参加して居るガリア貴族は殆んど存在していないでしょう。

 しかし、完全に現実世界から切り離される時空結界の類を使用している訳ではないので、絶対に盗聴の類が行えないと言う程の、機密性の有る空間と言う訳でも有りません。
 その辺りも考慮しての問い掛け。いや、もしかすると俺自身の覚悟を問うて来たのかも知れませんか。

「確かに世界すべてを護る心算はない」

 ゆっくりと言葉を選びながら、最初にそう答える俺。
 それに、俺は英雄でもなければ、正義の味方と言う存在でも有りません。
 そもそも、万能の神でもない俺に出来る事などたかが知れています。

「それでも、手の届く範囲内で起きる厄介事を見て見ぬ振りが出来る程、人間的に枯れている訳でも、無力感に包まれている訳でもない」

 まして今の俺は、四年前の俺では有りません。
 自分たちの目的の為に他の生命を奪う事など何とも思わないような連中に対して、手も足も出せなかった頃の俺では有りませんから。

「ヤツラは危険過ぎる。知らなかったのなら、それは仕方がないけど、ヤツラが動いて居る事が判ったのなら……」

 これは断じて四年前。地脈の龍事件の時に亡くした家族の仇討ちなどではない。
 あの時は表面に出て来る事のなかったクトゥルフの邪神。這い寄る混沌が暗躍して居る可能性を感じ取ったから、こんな事を言い出している訳ではない。

 ――――はず。

 まして、這い寄る混沌に力を求めた存在は、間違いなく最期は破滅して居ます。
 暗黒の救世主事件を起こした、世界を望み、力を求めた少年は、最後の最期の瞬間、自らの生命を贄に捧げて黙示録の再現を願い、
 地脈の龍事件を起こした墨染の衣に身を包んだ八百年前の怨霊。自らの一族の再興を願い、執念の中に生きて来た怨霊は自らの生命を贄として荒ぶる黄金龍……。暴走状態の八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を召喚して果てました。

 こちらの世界でもそれは同じ。
 イザーク・ポルトーが。アンリ・ダラミツが。そして、もしかするとオルレアン大公が力を望み、そして、その望みを叶えると同時に、自らの破滅を導く神……。這い寄る混沌ニャルラトホテップと契約を交わして仕舞った。

 こう言う連中が破滅するのは自業自得。しかし、その破滅が世界に与える影響は、その人物一人で収まった(ためし)は有りません。
 必ず、世界に何らかの危機を発生させて来ましたから。

 俺の答えに納得したのか、軽く首肯くジョルジュ・ド・モーリエンヌ。悔しいが、この雰囲気を出すには俺は未だ青過ぎる、そう言う雰囲気を纏いながら。
 これは、種族の中に含まれる貴族と
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