第5章 契約
第82話 人ならざる者たち
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「そんな心配は無用じゃよ、シャルロット姫。そもそも、トリステイン魔法学院の蔵書の中に、『始祖ブリミルの使い魔たち』などと言う書籍が存在して居る、と言う記録は何処を探しても無いのじゃからな」
そもそも、そんな蔵書が有ったのなら、四月の使い魔召喚の儀式の直後に、ミス・ヴァリエールとその使い魔について気付いて居るわ。
オスマン老、いや、この時はオスマン学院長の顔でそう言った。ただ、別に気分を害したと言う様な強い語気では有りませんでしたが。
それに、四月の時のオスマン学院長は、本当に人間が使い魔とされる例は知らない様でしたから……。
「しかし、オスマン老。いくら、賢者として名高い貴方でも、トリステインの魔法学院の蔵書のすべてに目を通して居るとは思えませんから、一冊や二冊は貴方の知らない書籍が存在して居たとしても不思議ではないのでは有りませんか?」
そもそも、あのトリステイン魔法学院の図書室と言うのは、高さ三十メートルにも及ぶ書架がいくつも並ぶ巨大な部屋でしたから、その中に一冊や二冊の出所不明の書籍や、蔵書目録の記載から洩れた書籍が有ったとしても不思議ではないでしょう。
そう、割と単純に考える俺。
しかし……。
「リュティス魔法学院の図書館の中にも同じように、蔵書目録から洩れた同じ書物が有ったとしたらどうですか、殿下」
リュティス魔法学院のノートルダム学院長がインバネスの懐から取り出した、オスマン学院長が手にする書籍とまったく同じ羊皮紙の書籍を指し示しながらそう言う。
確かにふたつの学院の図書室で、蔵書目録に記載されていない同じ本が偶然存在して居ると考えるよりは、何らかの意図の元、其処に持ち込まれたと考えた方が違和感は少なく成るとは思いますが……。
ただ……。
「その書籍をそれぞれの魔法学院の蔵書の中に紛れ込ませた存在は何故、そのような事を為さなければならないのです?」
何者、もしくは何モノかは判りませんが、何故、そんなメンドクサイ事をしなければならないのか。その理由が謎過ぎるのですが。
そもそも、始祖の使い魔の情報などを与えられたとしても、大半の人間には役に立つとも思えないのですが。
何時現れるか判らない始祖の魔法を継ぐ人間の情報など……。
「判らん。そもそも、儂がトリステイン魔法学院で教師を初めてから既に三百年あまり。その間に、この書物に記された始祖の使い魔と同じルーンを持つ使い魔を召喚したのはヴァリエール家の三女だけじゃ」
もしかすると、そのヴァリエールの三女が始祖と同じ虚無の魔法を操り、始祖の使い魔を召喚した事と何か関係が有るのかも知れないがのぅ。
何か、非常に出来過ぎた話を口にするオスマン学院長。
う〜む。しかし
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